著者が「あまり売れなかったが、面白い」と太鼓判を押した本である。昭和60年(1985年)と今から25年以上前に出版されたものだが、田中角栄の本質を知る上で貴重なレポートである。金遣いは人格そのものを表してもいる。
「はじめに」で著者はいう「政治の表面ではいろいろ偉そうなことをいっても、裏にまわるとこういうさもしい金儲けと税金逃れに精を出しているのが、田中角栄という男の実像なのである。田中においては、金儲けと税金逃れはほとんど病気の域に達していて、彼は何を見ても金儲けと結びつけずにはいられないのである」と。
他にも著者はその金の流れから田中を指弾する。「彼は税金を納めるのがほんとにいやなんだね。もう偏執狂的に税金を払いたくないという感じだ」「田中の錬金術の神髄はこれなのである。要するに、国民の税金を利用して私利を図るということなのだ」「これがそのへんの骨の髄まで私利私欲でこりかたまった土建屋のオヤジならともかく、いやしくも一国の総理大臣をやり、地元新潟につくしてきたと公言している男のやることなのだろうか」「彼は実際、マフィアにものすごくよく似ている。まず恩義を売っといて、イザとなると、その恩義の回収にかかってくる。役所や政治の世界での命を奪うぞという脅しもまじえてね。そしてカスリを取るところもマフィアそのまま」「結局、田中が総理大臣として失敗したのは、要するに、経済の一部に寄生してうまくやるノウハウを身につけた男が、国全体の経済をやりくりできると思ってしまったからなんだ。そんな人間に、ひとつの国の経済運営がうまくできるわけがない」