3年前に小学校も廃校となった過疎の村。近所で米作りをするのは、とうとう賢治さんと春子さん夫婦だけになった。しかも草刈りの途中で春子さんが倒れてしまう。それでも稲はぐんぐんのびて、田んぼにはいのちがみなぎっている。
絵は、著者の実の娘で、前作からのコンビとなる横松桃子。ひっかいたような繊細な線で描かれる老人の姿は若々しい。それは、50年間米を作っていても、「五十回しかつくってなくて、一年生の気分」でいるという謙虚ないのちの姿だ。
今この瞬間にも消えていく日本の原風景や、自然に対する姿勢について考える機会を与えてくれる、子ども向けと一概に言いきれない1冊である。(小山由子)
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