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産む産まないは女の権利か―フェミニズムとリベラリズム
 
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産む産まないは女の権利か―フェミニズムとリベラリズム [単行本]

山根 純佳
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,520 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

中絶の権利の承認と胎児の生命に対する配慮は両立できるのか。フェミニズム思想の深化をめざして、リベラリズムとの差違を明らかにする。

内容(「MARC」データベースより)

女性の権利と胎児の権利の衝突をどう調停すればよいのか。フェミニズムとリベラルの思想の特徴を探り、リベラリズムを相対化してフェミニズムを深化させる道を考える。

登録情報

  • 単行本: 219ページ
  • 出版社: 勁草書房 (2004/08)
  • ISBN-10: 4326652977
  • ISBN-13: 978-4326652976
  • 発売日: 2004/08
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 哲学する河童 トップ500レビュアー
形式:単行本
これまで女性が中絶することの「権利」は、リベラリズムにその思想的な根拠が求められていた。しかし、フェミニズムが主張する「リプロダクティブ・フリーダム」(産む産まないは女が決める)ということと、リベラリズムによって擁護される中絶の「権利」には(言語化するには難しい)ズレがあり、本書の内容を簡潔に言えば、そのフェミニズムとリベラリズムの「ズレ」を言語化し浮き彫りにしようとする試みである。
そしてそれが実にわかりやすい形で成功しているのが本書の素晴らしいところだ。

三部構成になっており、第一部では過去に行われたリベラリズムとフェミニズムの論争(井上達夫・加藤周一の論争)を題材にして、リベラリズムとフェミニズムのすれ違いから生じる問題点を考える。
第二部では、胎児の道徳的な地位について。
胎児は母親の「所有物」であるのか、もしくは母親とは別個の独立した「権利主体」足りえるのか。
フェミニズムはそのどちらも否定するが、ここで思い知らされるのは男性が作ってきた法や概念のみで女性の中絶を云々することの限界である。
胎児が「私であって私でないもの」「自己とも他者とも言えない曖昧な両義的な存在」だという感覚は、これまでの男性が作り上げてきた法や概念では完全に表現すること等不可能なのだ。
第三部では、中絶の「権利」を、国家が干渉することを禁ずる個人の権利「プライバシー権」として考えることの是非について。
プライバシー権はリベラリズムから生ずる権利であり、読者はここでわかりやすくリベラリズムの本質を理解することができるが、最終的にはフェミニズムが主張するリプロダクティブ・フリーダムをプライバシー権だとすることは否定される。

著者の文章では問題点がわかりやすくまとめられており、読み進めていく間理解に困る部分は全くといって良いほど無かった。
ジェンダーに関する社会学はもちろん、法理学・政治哲学・生命倫理について興味がある方には是非読んで頂きたい。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 人工妊娠中絶の自由という難しい問題に、深く鋭く切り込んだ一冊。テーマをここまで特化しながら、これほど幅広く目配りした日本語の本は初めてではないだろうか。その意味でも画期的である。

 単純な中絶の自由擁護論ではない。むしろ従来のリベラリズムによる擁護論に厳しい批判の目を向けながら、読者とともに悩みつつ進んでいく、刺激的な内容になっている。
 その筋では有名な「井上達夫vs.加藤秀一論争」にはじまり、身体の所有権による中絶の正当化(リバタリアニズム、パーソン論、トムソン)、身体的統合の権利による中絶の正当化(コーネル)、プライバシー権による中絶の正当化(ロウ判決)、宗教の自由としての中絶の正当化(ドゥオーキン)など、現代の主要な理論を一つ一つ検討していく。
 その途上、ケアの倫理(ギリガン)によるリベラリズム批判、医療技術の進歩による選択的中絶の問題といった、現代的なトピックにもふれられている。初学者にとっても、中絶を題材にしながら現代規範理論を学ぶためのガイドになりそうである。

 法学・法哲学・政治哲学・社会学など分野を問わず、ジェンダー・中絶・フェミニズムに関連した議論では、今後かならず目を通さなければならない文献の一つになるだろう。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:単行本
 本書の主張は明快である―中絶の自由は、リベラリズムの「権利」として擁護されるべきではない。多くの女性たちは、中絶を「権利」として語ることへの違和感を吐露してきた。本書の功績は、その違和感をリベラリズムの論理内在的に丹念に解きほぐす作業を粘り強くなし遂げたことにある。
 母親の所有物として胎児の中絶の「権利」を正当化するパーソン論や生命倫理学は、母親が胎児と独特の道徳的関係をもっていることを適切にくみとることができない。
 所有権としての中絶を批判し、これを身体的統合の権利として再定義したフェミニスト法哲学(ドゥルシラ・コーネル)も、母親と胎児の自他の境界の曖昧性を適切に把握していない。
 母親にとって胎児とは、「他者」でなければ「自己」、「権利主体」でなければ「所有物」といった二者択一自体が成立しないような両義性を持っている。それでも女性が「私の身体」と言うとき、それは、その身体においてしか私は生きていくことができない、という意味での<私が存在する身体>なのである。
 一方で、リベラリズムはコトをややこしくしてきた。近代の「公私の分離原則」にのっとって中絶を「プライバシー権」として擁護しようとするリベラリズム(ロールズ)も、中絶の選択を生の「挫折」の回避ととらえ、個人の信条の自由としてこれを容認すべきとするリベラリズム(ドゥオーキン)も、他者を考慮しない利己的な主体として、中絶する女性を想起させる弊害をもたらしている。個人の「自由」をもっとも論じてきたはずのリベラリズムの中絶の「権利」論こそが、「胎児」対「女性」の権利の対立図式を構築し、中絶の自由の正当化を困難にしてきたのである。
 フェミニズムのリプロダクティブ・フリーダムを、リベラリズムとは異なる思想として言語化しようとする著者の力強い提言を、私たちは説得力をもって聞き取ることだろう。
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