作者はSF的設定の中である縛りを設け、その縛りの中で謎を論理的に解くというロジカル・ミステリの大家。本作は「神麻嗣子」シリーズの短編第4段で、超能力の存在を前提にチョーモンイン委員会(読まないと分かりません)の美少女嗣子、美人警部の能解さん、売れない作家の保科の3人が力を合わせ事件を解決する点が見もの。事件によって、嗣子の同僚でウリ二つの響子、保科の元妻聡子も活躍する。作者の言に依ると、本作はレギュラー陣側からではなく、事件当事者の視点で書いた由。
「嗣子と響子のコンビがDツール能力者に対抗するノーマル物」、「予知夢の能力を持つ淫乱女の起こす錯誤事件」、「発火能力を持ったイジメを受ける学生の転落を描く異色作」、「主従関係にある若い2人の女性とテレポーテーション能力の組み合わせ」、「念写能力を持つ男の覗き趣味が描き出す奇妙な事件」、「サイコキネシス能力を扱う男達の偶然過ぎる犯罪」、「テレポーテーション能力を持つ女のセコイ目的」。
マンネリを防ごうと言う作者の意図は分かるが、一つ一つの作品の自由度が高過ぎて従来からの読者には違和感を感じさせる。内容も「奈津子もの」に近いものが多く、遊びが過ぎるように思われる。「これは!」というトリックとその解決も見当たらない。今後を期待したい。