ラマルク、ダーウィン、メンデルの進化説から、フィッシャー、ホールデン、ライト、マラーらによって開拓された集団遺伝学、そして進化の総合説を概説するのが本書前半の内容。続いて、自然淘汰、突然変異、適応といった話題が続き、分子進化学と中立説の説明へ。進化論の歴史が非常によく理解できた。集団遺伝学と分子進化学、中立説の箇所は数式も随所にでてくるが、重要な概念や定数がどう定式化されているのかが具体的に分かるという意味でよかった。数式の持つ意味も言葉で説明されていることが多く、分かりやすさへの配慮も豊富。世界的かつ重要な仕事をした著者ならではの視点で、この説は重要だが、あの説は喧伝されているほどでもないなど、フランクな意見が散りばめられているのも面白い。科学ジャーナリストによる本とは一線を画す本格的内容。出版されて20年たっても本書の重要性は変化していないのではないか。