対論とは言うものの、七つのうち六つは精神や生と死などのお題について、それぞれの立場から自由に論じているだけ。斎藤は科学者らしく、進化の視点から魂のようなものがあるとは考えられない理由を述べる一方、佐々木は仏教世界でかつて魂や精神がどのようなものととらえられてきたのかというような宗教思想史的な話が中心。全くと言っていいほど話がかみ合っていない。別の本を交互に読んでいる感覚。宗教におもねるところがない斉藤に強く共感を覚えるが、特に目新しいことが論じられているわけではない。佐々木は中立な立場ではなくやや護教論的で、特に仏教はキリスト教などと違って現代的な価値観にあっているという自画自賛的なスタンスが見え隠れしてあまり好きになれない。
最後だけは対談形式だが、99%の対談モノがそうであるようにとてもゆるい内容。まあ「その仏教の教えは科学的に見ておかしい」みたいな真剣勝負が続いても決まりが悪い思いをしそうだが。お題が抽象的すぎるのも問題なのだろう。せめて各章の最初に短い対談をして、そこから話を広げるように互いの主張を示すとか、もうすこし工夫の余地があったのではないか。