本書を読むと今日の企業活動や市民生活などの経済活動が生態系サービスに大きく依存していることを理解できる。
今後、化石燃料からバイオマスへの転換が進むなど、文明・経済の進歩・発展に伴い、われわれの経済はますます生態系サービスに依存していくとになる。
生物多様性とそれを支える生態系サービスは莫大な経済的価値をもち、われわれは生物多様性に配慮しながら生態系サービスの持続的利用をはかっていかねばならないのだ。
筆者は、個別の日本企業にとっても、生物多様性への配慮が遅れることは、経営リスクであり競争力低下であることを説いている。
本書では、PES、生物多様性オフセット、さまざまな認証制度といった経済手法が紹介されている。
企業経営が今後、生物多様性にどう配慮していえばいいのか、理念的・思想的な部分を学ぶには本書は格好の入門書である。
個人的には、海外においては環境NPOとの付き合いなしでは企業活動ができない点や認証制度においてNPOが果たす役割の大きさに非常に驚いた。
とりあえず、現代のビジネス・パーソンならば、おさえておきたい内容といって過言ではない。
もっと学術的なアプローチでの入門書ならば、「生物多様性・生態系と経済の基礎知識」(中央法規、2009)。
具体的な個別企業の取組事例が知りたい場合は、「70の企業事例でみる生物多様性読本」(日経BP社、2010)、
プレゼンテーションの基礎資料を探したい場合は、「生物多様性読本」(日経BP社、2009)が良いだろう。
また、TEEBの報告書(http://www.teebweb.org/)も併せてチェックしておきたい。