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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
バイオ研究の経験から、さまざまな本質を浮かび上がらせた良本,
By
レビュー対象商品: 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) (新書)
生命も化学現象ではあるが、「発生から死まで動的平衡が続く」という大きな特徴があることに注意を喚起しています。著者の語り口には、文学作品を思わせるような透明さがあり、DNA研究史やご自身の研究史にもなっていて、「つながり」を感じる不思議な本です。小生の印象に残った点は以下です。 ・ウィルスは代謝をしていない。自身を寄生主に複写させることに特化した無生物。 ・思い込みから逃れるのは難しい。 ・「壊れる前に壊す」が、生物の秩序維持の方法。このため、生体内の物質は絶えず入れ替わっている。 ・食事を摂らないと死ぬのは、エネルギー不足が主因ではなく、新しい蛋白質が合成できなくなるのが主因。 ・生体は、3次元ジグゾー・パズルのようなもの。流れてきた蛋白質が、当てはまるべき場所にはまる。 ・ある蛋白質が無くても、他のものが代用することで、生体として正常に動作することがある。 ・人工的に一部のみ変更した蛋白質をジグゾー・パズルにはまると、生体がその異常を検知できず、生体全体が機能不全になることがある。 ・発生は、後戻りできない動的平衡の変化の連続。 「老朽化で壊れ、制御不能になる前に、自分で壊すのが生物の秩序維持方法」という所にハッとしました。「発生も生存も、動的平衡に向かう化学反応のシーケンス」という本質にも。膨大な手数の裏付け実験が必要なバイオ研究の経験から、さまざまな本質を浮かび上がらせた良本だと思います。
360 人中、282人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
「生物と無生物のあいだ」についての深い考察は無い,
By 名前はまだ無い。 (地球) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) (新書)
著者は分子生物学者です。分子生物学の視点から述べているということを念頭に置いておく必要があります。一言で言うなら、著者は、「生命とは動的平衡である」と定義しています。 それを、「生命とは自己複製を行うシステムである」という著者とは別のひとつの定義に対抗するものとして、提示しています。 よって、「ウィルスは自己複製を行うが、生物ではない」と本書の最初の方で言っています。 ここで言う「動的平衡」とは、生物も当然分子レベルでのパーツの構成物ですが、その分子レベルでみれば、絶えず分子は入れ替わっている(食べたものが吸収されて生物の構成物となり、排泄等により生物の対外へ出て行く)という意味で「動的」であり、同時に「動的」でありながら、常にある個体としての生物を形作り、その中でその個体を生かすために協働している秩序のある状態という意味で「平衡(均衡)」ということです。 (著者は分子生物学の方ですから、分子的に動的平衡という事ですね) 簡単に言えば、帯に書いてある「生命とはなにか?」という問いに合う部分はこれだけです。 また、この主張自体は大昔にされているものです。 本書の他の部分は、 3分の1くらいは著者の叙情的な追想といったものです。 残りの3分の2は、著者の研究に関連してくる部分での分子生物学の歴史、といったものです。 DNAの話など、高校の生物レベルの内容+裏話で本書のかなりの部分が割かれてしまっています。本書を手に取る多くの人が既知の内容だと思うので、寧ろなかなか本題(生命とは何か?)に入らない感じでイライラすることでしょう。 周囲の風景描写や著者の知人などについての記述も、本書を手に取る人の目的に合わず、読み飛ばしたくなると思います。 著者自身に興味があるか、または、分子生物学にまつわるエピソードを読みたい方には良いと思います。 しかし、生物・無生物についての理系的な深い分析を期待される方には物足りないでしょう。
146 人中、114人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
科学者という生き方,
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レビュー対象商品: 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) (新書)
この本の賛否が分かれているのはわかる気がする。帯に大書きされている「極上の科学ミステリー」という内容を期待すると、「そうかな」と思う読者が多いに違いない。私はこの本の科学的精度を論じる知識を持たないが、批判的な方々のレビューを読むと、なるほど、科学者にしては不用意な記述もあるのかなと思う。 しかし、結論から言えば、私はこの本を好ましく読んだ。 以前に読んだ立花隆・利根川進著『精神と物質 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』に印象が似ている。この本も「科学ミステリー」というより、「科学者という生き方」に興味をそそられたが、『生物と無生物の間』もそうだ。 分子生物学者の目に映る都市と自然、日常生活のすぐ隣にあるDNAの世界。また、野口英世やオズワルド・エイブリーといった「偉大なる先駆者」たちの功績と人柄も、この本からうかがい知ることができる。 科学者が書いたエッセイとして、読んで損はない本ではないだろうか。
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