暫く見かけなくなっていたが、数十年前であればちょっと専門書を
あつかっている書店の生物学コーナーでは必ずみかけた古典的著者。
生物がそれぞれの固有の世界性に宿命付けられているという(あた
りまえといえばあたりまえの)考えを思弁的にならずに生物学的に
考察してみせたものだ。とりわけ「環境世界」という概念の与えた
影響は多大で、面白い事にそれにヴィヴィットに反応したのは哲学
だったようだ。超越的な視点を前提にしない限り、ヒトの「環境世
界」を問題にするとき必然的に認識論や意味の問題を引き寄せてし
まうからだ。「世界内存在」や「生活世界」ヤ知覚の現象学がかな
ずしも本書の範疇にあるとは言わないがそれらに興味のある方には
一読をお勧めする。現代文庫でなくやや安価の岩波文庫でリリース
した見識を鑑みても買の一冊です。