90年代の頭に出版されているので昨今流行の「庶民の生活史」を最近解読された楔形文字文書の内容に基づいて
いろいろ叙述してるのかと期待して買ったのだが、庶民生活からのアプローチは余り無かった。
文庫化される元テキストの出版が76年と古く、主に60年代までの研究を元にしたもので、
そういう学問的風潮が出来る前の研究。
考古学的アプローチが多い硬派な生活をテーマにした「論文集」といった内容で、
本の体裁から想像されるよりレベルは高い。
しかし、内容が古いのと、王権や社会の上部構造からのアプローチが多く生活史としては多少
時代にミスマッチになってきてると感じた。
(1)
通史を叙述するというより、「生活をテーマにした色んな著者によるバラバラの内容の論文集」を体裁だけ文庫本化したものに近く、
読む前に別に古代オリエントに関する一般的な年表レベルの時間軸は最低限押さえておいたほうが良い。
(2)
良書だが内容が古いのと、昨今流行の「柔らかい庶民史や文化史」を
期待すると大分様子が違うだろう。
91年に文庫本化される際に76年からの15年間の参考文献のアップデートがされていて良心的であるが、
それからも、もう20年以上経ってしまった。
60年代ぐらいの考古学的業績が基礎になってるので、半世紀経ってしまってる。
アプローチも含めて装丁よりも内容、基礎情報は大分古いという理由で星三つ。
その辺を踏まえた上でなら買う価値のある良書だと思う。