●本書は、徳義心にあふれた自然愛護の讃歌ではない。自然保護を市場価値に結びつけようと(すなわち金儲けのネタしようと)世界を駆け回るプレイヤー達のドラマである。
●「自然保護で金儲け」というと聞こえが悪いが、そういう我々の感覚自体が、じつは「環境保全」と「経済市場」をつなぎ合わせられない頭の固さの証拠に他ならない…そういうことを痛感させられた一冊だった。
●本書に出てくる人物たちのチャレンジを、私はどれも全く知らずにいた。訳者あとがきにもあるとおり、多くの日本人にとってもその殆どが初耳だろう。だから、本書の翻訳が名古屋で開催されるCOP10に間に合って良かったと思う。経済開発優先派も自然愛護絶対派も、本書を読んで「両方をつなぐ道」があり得ることを知って欲しい。
●もちろん、本書でも繰り返されているように、このビジネスにはまだまだ不確定要素が多く決して簡単に手を出せるものではない。しかも、政府レベルの規制が新たなチャンスを生み出す場合が多いので自由市場でもない。今はうまくやっているように見えるプレイヤーたちも、明日どうなっているか保証はない。だから、この本を新ビジネスチャンスへ甘く誘う俗なハウツー本だと思って手に取ると痛い目を見るだろう。
●アメリカ人の書く『気の利いた』ルポルタージュ風の文章が私は嫌いなので、☆をひとつ減らしておく。