同工の出版物(教材?)が予想通り“乱立”した中で、刊行をいち早く予告し、出版も最速だったのが本書。
生声CD付き [対訳] オバマ演説集が出たときに“完全版”に対する強い期待をしておいたが、それにまずまず応えてくれた内容構成である。
個人的にキモだったのは、就任の宣誓が収録されている点だ。
ご案内のとおり、大統領への就任タイミングは、米国憲法の規定で東部標準時1月20日正午となっており、形式上はこの時刻になれば自動的に新大統領誕生である。だが実際は、宣誓をしなければ正式な就任とは認められない。その意味で、新大統領に全ての任務職務が引き継がれた、まさに歴史的瞬間の実況が記録されていることになり、非常に意味あることだと思う。
現実には、立ち会いの最高裁長官が、これも憲法に規定されている宣誓の文言を言い間違え、そのトバッチリ(?)で後刻宣誓をやり直すハプニングがあったわけで、歴史に厳然と残るそうした生々しい事実の証人になれた、という、ちょっとしたカタルシスも覚えてしまったのだが。
オバマ新大統領が強く意識していたリンカーンとケネディの演説を“前座”に置き、“真打”の本題へと導入して行く録音構成も、これはこれでいい。
リンカーンのゲティスバーグ・アドレスはプロの朗読だが(そりゃ当然。生録が存在していたらタイヘンだ(笑))、スピードを遅めに、イントネーションも演説を意識してちょっとオーバー気味にしているのが、かえってノンネイティヴにも親切な設計になっている。BGMはなくもがなだけど。
勝利演説版と合わせ、シンプルでお手頃な構成に徹したという意味で存在価値がある。