この演説集シリーズはこれまでに5種類出ている。オバマ人気に乗じて、次々とその演説を手頃な値段でCD化してきた出版社はなかなか商売上手だが、正直そういう商業主義が見え隠れしていたので、1枚目を買って以降はまったく食指が動かなかった。ところが、知り合いからオバマ氏が子供達に向けて教育の大切を説いたスピーチがあるということを聞き興味をそそられた。そこでまずYou Tubeで本書に入っているスピーチを聴いてみたが、これがすばらしい内容だった。テーマが「教育」であるという点で、他のシリーズとは異なり、新鮮な印象を受けた。内容自体は、あくまで自国アメリカの状況に即して語られてはいるものの、オバマ氏が語る教育の本質には普遍的価値があると私は信じている。というわけで、早速購入して繰り返し聞いている。
この演説はアメリカの学校の新学期に際して行われたものだ。幼稚園児から高校生まで、アメリカ全土の学校に通う子供達に向けてその映像が配信されたらしい。長さは約20分。ちょうど新学期に校長先生の訓話を聴くような形で子供達はオバマ氏の言葉に耳を傾けたのだろう。オバマ氏自身が苦労の人であり、粘り強く教育を受けることの価値を信じるその姿勢は毅然としており、説得力がある。
ときおり挿入される自身の子供時代のエピソードは感動的である。オバマ大統領の父親は彼が2歳の時に家を出て行ったため、家庭の経済状況は厳しく、他の子供たちのように学校には通えなかったようだ。母親は働きながら、息子に教育を受けさせようと考えた末、平日仕事に行く前の早朝4時半から息子に基礎教育を施したらしい。この逸話は若い人たちに勇気を与えてくれるはずだ。また、次のような言葉も胸を打つ。
But at the end of the day, the circumstances of your life --- what you look like, where you come from, how much money you have, what you've got going on at home --- that's no excuse for neglecting your homework or having a bad attitude. That's no excuse for talking back to your teacher, or cutting class, or dropping out of school. That's no excuse for not trying.
最後に一言。内容はすばらしいものなのだから、わざわざ脳科学者による監修であることを謳わなくともよいのではないかと思った次第。