広大無辺な40億年を一つの物語にまとめあげるという、偉業を成し遂げたのは、大英自然博物館の主席研究員、リチャード・フォーティ。彼は、自ら化石発掘のため、世界各地を飛び回っている古生物学者だ。臨場感あふれる発掘調査のエピソードもいたるところに織り交ぜられており、本書はさながら、著者の自分史ともいえるだろう。
第1章ではケンブリッジ大学時代にスピッツベルゲン島で探検をした時のことが語られているが、この時、彼が学んだのは、発見や歴史における重要な1歩は、些細な事柄に還元できる場合が多々あり、決定的に重要な事件はありふれた出来事と隣り合わせになっている、ということだった。この章でのエピソードは全編の隠喩となっている。
地球は、誕生まもない太陽をとりかこんでいた宇宙のゴミ(超新星の残骸)から生まれた。そして最初の生命が誕生したのは酸性で硫黄臭を発散する地獄釜のような所だったと考えられている。その後、原生生物、三葉虫(著者の1番の専門)、魚類、両生類と進化していき、ジュラ紀(2億800万年前)に入ると恐竜が繁栄するが、その栄華も永遠ではなく、白亜紀(1億4600万年前)には絶滅してしまう。そして、我々哺乳類の先祖が出現する。
生命の進化というのは、無数の偶然と必然からなり、生命は常に勝ち抜いてきたものなのだと著者は言う。
最後に「たしかなのはただ、この先も変化は続くということのみである。変化の原因として人間が関与することは間違いない。偶発に翻弄される運命の歯車も、われわれの運命を左右するだろう」と述べ、近年の環境破壊、遺伝子工学による影響などを危惧しつつも、「人間には影響を予測する力があり、自分達の、そして未来のコントロールもできるはずで、これらの危機もきっと切り抜けていけるだろう」と、これまで絶滅してきた生物とは異なる、人間の可能性を強調している。壮大なスケールの本書で、40億年の歴史を一気に駆け抜けていただきたい。(冴木なお)
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植物の上陸。昆虫や四脚類の上陸の話も興味深い。恐竜以外の絶滅の物語も面白い。生命全史を概観するには絶好の本だろう。なお、今スポットライトが当たっている部分にも当然触れられているし、こんな角度からの見方もあったのかと思わせる内容にもなっている。ただ、主題ではないので欠陥としてあげつらうつもりはないが人類についての記述にはもう少し慎重な保留をつけてもよかったのではないかと思う。
生命の歴史を期待して読むと確実に失望する。しかし、私のような門外漢には、却って学者の日常を垣間見せてもらった方が面白かった。学者が他の学者を寸評していたり、自然科学のなかで生物学者の位置がどの様な物だとか・・・。だが、内容以前に不満な点が二点ある。訳が悪いのは、原文の所為なんだろうか。それと、生き物の名前だけでは想像も出来ない。もっと写真を入れて欲しいものだ。
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