生命保険会社に勤務する全ての人にとって、過去・現在・未来を見据えるための基本書の5年ぶりの改訂版。そして著者はこの5年の間に実際にライフネット生命保険という会社を起こした。
著者は他の著書で「私は予言者ではない」と言っており、本書でも「将来はこうあるべきだ」「こうなるに違いない」という表現は見られない。ただあるのは「現行制度・手法は契約者のためにならないのではないか」という視点である。そして種々の現実は(速度に差こそあれ)著者の指摘の通りに進みつつある。
一例を挙げれば、販売商品では死亡保障への偏り、販売チャネルでの女性外務員偏重と激しいターンオーバー、特約の複雑さ。これらに対して著者は長年警鐘を鳴らしてきた。特筆すべきは長いスパンで事象を捕らえようとする姿勢と、それから生まれる終始一貫した論理である。
死亡保障への偏りでは、戦後の都市型住民形成期(昭和30年代から50年代までの一時期に過ぎなかった)に原因を求め、女性外務員偏重問題もその裏面に過ぎないと喝破する。特約の複雑さは、商品比較を忌避する姿勢と販売チャネル維持のための収益獲得動機に起因すると解説する。そして保険金不払い問題にも繋がっていった、と。
何れも眼前の事象をその折々に把握するだけでは得難い視点である。まさに生命保険関係者のバイブルと思われ、そうした方々へ一読を強くお奨めする。また、一般の読者にとっても有用な情報が多く記されており、もちろん有益。そうした方々は、「IV 生命保険とどうつきあうか」だけでも購入して読む価値がある。