本書は,生命の起源に関連する諸研究の最新レポート集である.
通常の生命の営みではDNAのもつ遺伝情報に従って蛋白質が合成されるので,DNAが生命の基本要素のように思われるが,DNAは蛋白質の援けなしには複製できないので,最初の生命は蛋白質でもDNAでもありえない.従来RNAは現在の生物では両者の仲介を果たす従属的な要素と見られがちだったが,実はRNAこそ両方の働きををもつ生命の基本的要素であることが分かってきた.最初の生命はRNAでできていたとする考え方をRNAワールドという.本書の最初の6編の論文は,このRNAワールド説に関連する生命の起源に関するものである.続く5編の論文は,地球外生命のいろいろな可能性を考察する.最後の4編の論文では,地球上の既知の生物にも見られるRNAワールドの名残を調べる.
まだ発展途上にある研究の最前線からの報告であるので,ここに述べられていることが将来確実に生き残るとは限らないであろうが,大変興味深い新知見にあふれている.とくに,従来DNAの中のガラクタと思われていたイントロンが,蛋白質合成の調節役として重要な役割を果たしているらしく,高等生物ほどイントロンが多いのはそのためであろうというのは,面白い考え方である.
DNA, RNAなどについて一応の知識があれば読めるので,生命現象について興味をお持ちの方は,是非一読をお勧めしたい.