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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
環境問題のふたつのジレンマを斬る。,
By 漆原次郎 (千葉県市川市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 生命の未来 (単行本)
生物多様性主義の急先鋒エドワード・O・ウィルソンが、生命の未来を憂う。著者はまったくの理想主義者かといったらそうじゃない。例えば安全性が保証されれば遺伝子組み換え技術の利用もいとわないこと。財力のあるNGOによって原生林の土地を競売で購入すること。こうした現実的視点に立った提案もある。 環境問題を話すときには、以下のようなふたつの根本的ジレンマがあると思う。この本ではその答が示唆されている。 ひとつは「環境か経済か」といったプライオリティ選択のジレンマについて。つまり「地球の遠い将来を見据える」といった長い目か、「今日明日の利益を追求する」という短い目かの問題だ。 もうひとつのジレンマは、生物が1種や2種絶滅したからといって、大勢には影響ないじゃないかという論だ。自分が選挙で投票したって当選者がかわるわけじゃないという感覚と似たものかも。 こんな話をしたところで、ジョージWブッシュライクな人びとは、依然として聞く耳を持たないかもしれない。けれど、環境問題は「なんとなく」関心を持っている人がほとんど(20対80の法則がここでも成り立つ)。そうした「なんとなく」関心を持っている人たちを取り込んで世論をつくっていくためには、やっぱりこうした本の存在を知らしめて、じっくりと読んでもらうことも重要だと思う。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
科学的根拠に裏付けられ、かつ実効性のある提言,
By
レビュー対象商品: 生命の未来 (単行本)
主要学問分野を横断できるだけの幅広い知見と、
それらを統合できるだけの頭脳を持った著者ならではの本です。 自然科学を駆使して生命多様性の重要性を立証してみせ、 かつ経済活動の現実を踏まえて実効性のある解決策を提示しています。 このテーマについては、 とかく自然と経済の表層的・短絡的・イデオロギー的な二元論での不毛な論争が目立ちますが、 本書で科学をフルに活用することによって解決の道筋を見せてくれたことで、 より適切な問題解決へと進むことができるのではないかと思わされました。 なお、本書には「解説」が挿入されていますが、揚げ足取りに終始しており解説になっていません。 無視することをお薦めします。
6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
かなり偏向した書である,
By ねぼすけ2004 (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 生命の未来 (単行本)
生物学者のなかで進化論の権威と言えば、動物行動学専門家の理論派R.ドーキンス、古生物学専門家の一流コラムニストS.J.グールド、そして本書の著者の社会生物学専門家のエコロジストE.O.ウィルソンが三本柱である。前2者の著作はいくつか読んだことがあるが、ウィルソンについては読んだことがないので本書を手始めに読んでみた次第である。
内容は、「生物多様性の維持が地球環境を救う」という主張に尽きる。なぜか、本書の最後にあるにもかかわらず本書に批判的な「解説」として寄稿する池田清彦氏が指摘するとおり、「ウィルソンの論調は生物多様性至上主義とでも言うべきもの」で「はっきり言って生物多様性を守る絶対的な根拠は存在しない」に、読後感として個人的には同感である。 エコな人にとっては、「現在のテクノロジーで世界中の人が、現在のアメリカの消費水準に達するには、地球があと四つ必要」とか、「人類を救うには、普遍的な環境倫理しかない」とかいう言葉が、とても耳に心地よいのかもしれない。しかしながら、生物多様性至上主義に近い、地球温暖化防止至上主義の主張することには、まだ確かめられていない「神話」を心底信じ切っている単なる輩として、辟易とされてしまう経験が多い。 科学的な実証を踏まえた現実を直視することこそが、真の地球温暖化防止策となる訳で、生物多様性確保も同じようなことが言えるのではないかと思う。本書の表紙裏面の概要紹介では、「人類必読の書」らしいが、そうとはとても思えない。逆に、かなり偏向した書であることは確かである。
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