「ミクロの世界を研究する生物学では、タンパク質をみてみなければいけません。すべての生命活動はタンパク質によっておきているのですから」。
水分を除いた人体の70%近くがタンパク質である。Newtonらしい、Visualで色鮮やかなイラストを満載し、その不思議と役割について、説明している。そもそもアミノ酸とは何か、たんぱく質とは何かという基本的だが丁寧な説明から始り、たんぱく質を含んだ食べ物がどのように消化されてアミノ酸に分解され、体内に吸収され、そこからまたRNAの情報を用いて生成されるのか、といったことについても、前提知識がなくともやさしく理解できる。また、たんぱく質の種類、役割、体の様々な部位での役割についても、いろいろな角度から解説している。また、もうちょっと古い気もするが、後半はたんぱく質研究の進歩に貢献した日本人ノーベル化学賞受賞の田中さんの受賞時の記事を編集して掲載してある。
Newtonムックシリーズの中ではちょっと高めの価格帯であることが留意点ではあるけれど、少なくともこの分野については詳しいわけではないという方には一読の価値がある。個人的には、右手型と左手型アミノ酸の解説は興味深かった。これから紫外線に当たるのには気をつけようと思った。BSEの原因となるたんぱく質は正常なものと折りたたまれる形が違うだけ、という説明もある。
タンパク質が関係する研究でノーベル賞を受賞した科学者の一覧も後ろに載っている。間接的なものも含まれているとはいえ、1902年から2007年まで、非常に多くの科学者がノーベル賞をもらっていることがひと目でわかる。同時に、この分野の研究が今まで100年以上に渡って科学の最重要分野のひとつであり続けているのに、その研究の重要性や応用への期待はさらに広がっているという事実に改めて驚いた。今後も、たんぱく質やアミノ酸に関する研究はさらに進むだろうし、そこからさらにたくさんの卓越した研究成果が生まれ、明日の人類の進歩に決定的な役割を果たすことになるであろうことを確信した。
尚、DNA のCopyやDNAの情報を用いた、たんぱく質合成の仕組みについては、DVD&図解見てわかるDNAのしくみ (ブルーバックス 1582)が、もっともわかりやすく、おすすめである。