実績で判断すればノーベル賞が取れないのが不思議だ、と言われる著者の日本への思いが伝わってくる。
旧制高校での不条理の良さ、文系学問や国語力の上に理系の力を養って初めて本物になること、研究室間どころか学部や大学の壁を超えて交流する大切さなどが、思い思いに語られる。
内容に難しいことはほとんど書かれていないので、1時間の講演会を聴いたような感覚だ。
著者の講演会を聴きたい方には、この本で十分だろう。
しかし、喩え話には適当な話も混ざっていることや、やたらとフォントが大きく無理やり150ページにした感も拭えない。
適当な話と激怒される方もいらっしゃるだろうから、いくつか例を挙げる。
・本の紹介に書かれている、リンゴ3つとミカン3つを足す話、こんな足し算が小学校で行われているのか!と思えば、これは著者が訪れたヨーロッパの家庭での会話だった。日本の小学校の話ではない。
・2010年10月の発行ながら、EUが1つの「国」を目指している、ですって?
・欧米とアジアの教育の歴史を比べるのに、欧州最古の学校をボローニャの医学校に求め、アジアを孟母三遷の逸話に求める。
え?ギリシャ、ローマ無視ですか。大学と子供の学校を同列に扱って良いんですか。
アジアと言いながら、歴史の長さは古代支 那の実例を持ってきて、日本をその中に入れるのは乱暴すぎでは?
・アジアには倫理感があると言いますが、全支 那に倫理観があるかのような書き方はどうなんでしょう。
ということで、著者の講演会を聞く代替品として価格は問題なしだが、少々難有りということで☆2つにさせていただく。
忙しい人が口述するような本については、内容のチェックをきちんと行なってもらいたい。