かつて歌謡曲は、その時代の空気を映す鏡であるとともに、どの時代にも通じる普遍性をもっていた。
アーバンギャルド、メジャーデビュー後3枚目のシングルは、その歌謡曲を思わせる懐かしく切ない2曲である。
初めて聴くのに、懐かしい。それは、奇をてらったギミックではなく、意表を突くような引用でもなく、
真っ直ぐに届けられた真摯な言葉とメロディーだからである。
そこには、これまでのアーバンギャルドがまとっていた衣装はなく、裸の透明な言葉だけがある。
彼らが今回創り出したのは、歌のもつ普遍性なのだ。
わたしになれなかったかつてのわたしへ、わたしになれないいまのあなたへ。
いつの時代にも、その一歩を踏み出せない魂が存在する。
浜崎容子の声は、そんな魂たちに、届かない手紙に火をつけて前に歩き出す勇気をくれる。
「生まれてみたい」というこの美しい楽曲は、これから生まれてくる命に対する祝辞にも、失われてしまった命に対する鎮魂歌にも、
そして現代の病理を抱える全てのひとたちに向けたエールとしても、聴くことが出来る。
一方「u星より愛をこめて」は、松永天馬独特のシニカルなユーモアを持った、現代(いま)への警鐘ともとれる曲だ。
どちらも、いまでも愛されている幾多の歌謡曲のように、先入観なしで聴いてほしい。
それだけの力を、この楽曲たちはもっている。