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私がドキっとしたのは、べつの編集者との会話のなかでの筆者の発言です。「ああ、そう。なればいいですよ、ホームレスに。怠け心を抑えることもないでしょう。なんにもせんのが楽しいなら、それでホームレスになったら本望じゃないですか」。編集者が自分が怠け者なので好きなようにしていたら、ホームレスになってしまうのではないかと不安をうち明けたときの、筆者の言葉です。筆者の生まれもった天衣無縫なふるまいと、死線を生きのびた者だけがもちうる冷徹なリアリズム。人生への筆者の対照的な姿勢は、私の心をひきつけてやみません(一般には前者だけが注目されているようですが)。
ほかにも「どうですか、あんたもボケませんか」「愛? そんなもんは知らん」「お父ちゃんは、マイブームが異常に長い」「あれ? 私は、なんのハナシをしていたのかなァ」等々の、名言が収録されています。
ところで本書を読んでいて気になったのは、本書の少なからぬ部分が既存のエッセイと重複していることです。たとえば本文中の「マイペース」の精華美術学院、「しょっちゅうクビ」の職工募集のくだりは『ほんまにオレはアホやろか』と、文章の流れまで一致しています。もちろん筆者が過去のエッセイを下敷きにして、あらためて文章にしたのなら納得します。しかし本書の文章は筆者ほんらいの名文にはほど遠いもので、元のエッセイを筆者以外の人物が書き直したかのような、ぎこちない文章になっているのです。
もちろん真相は不明です。ですが私が心配するのは、本書を先によんだ読者がその下敷きとなっている過去のエッセイを読んだとき、原本のほうが二番煎じに映りはしないかということです。本書をよんで興味をいだかれた方は、『アホやよろか』『ねぼけ人生』などの他の自伝エッセイ集をぜひ手にとっていただければと思います。
最後に、標題の「生まれたときから『妖怪』だった」は扇情的な標題ですが、筆者が世の中の常識からみると規格外(=妖怪)の人生をおくってきたという意味で使用されています。
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