9.11以降の米国における言論自粛(という名の言論封殺)がどのように行われているのかに対する冷静な考察。そして知識人に対して抵抗を求めるための静かなアジテーションでもあります。言論封殺に対抗するための手法は本書の中でも明示されてはいませんが、少なくとも日本でも同じ状況がおこりつつある中、これからの自分のあり方を考えていく最初の一歩としては有益でした。
ただし、その言論封殺を行っているのが「実体がわかりにくい政体」というものではなくて、少なくとも民主的手段によって選ばれた政治家と、その政治家がgovernすべき官僚によって行われている(つまり、選挙という手法を持っているからには、たとえブッシュに投票していなくても最終的に自分たちが言論封殺を招き寄せている)という点に関する自覚のなさ(単に言及されていないだけかもしれませんが)がやや気になるところ。また、哲学書にありがちな動詞の無理矢理な名詞化や、名詞の動詞化、浮世離れした語法、文体等で読み進めるのが辛かったのも事実。