この本のタイトルは『生き物をめぐる4つの「なぜ」』とありますが、これは4つの生物学的テーマについてそれぞれみていくというものではありません。レビューとしては難しいことを書くようですが、タイトルに誤解がないように説明をしておきます。K.v.フリッシュやローレンツらとともに、動物行動学を確立し、1973年にノーベル賞を受賞したN.ティンバーゲンの考えた4つの「なぜ」と言うものがあります。具体的には、「なぜ」と言う問いかけに対して、至近要因・発達(発生)要因・究極要因・系統進化(歴史)要因という4つの異なる視点からのアプローチがあるのだということです。この4つの視点から様々な生物学的問題にアプローチしてみようと言うのが本書の構成です。
一般に学校で学ぶ生物はこのような多面的!!!なアプローチがされていないため、暗記科目とされ、つまらないと思われてしまうのだと著者は主張します。本書には高校生物で習わなくてはならなかった様々な名称が出てこないと言うわけではありませんが、高校で生物を学んでいない人でもそれほど難解であるとは思えません。また、私はこの本を読んで高校時代に学んだ知識のカケラが次々とつながって、より深い理解に進んだような感覚を覚えました。
昨今理科離れが叫ばれていますが、まさにそのような人にこの本を読んでもらい、生物学というものの奥の深さ、そして、学校で学んでいる生物学はその一側面でしかないことを感じてほしいのです。ですから高校生はもちろん、現場にいる先生や学校で習う生物は苦手だったという一般の方に読んでもらいたい一冊で!す!!。また、これから専門的に生物を学ぼうという人にも、より広い目で物事を考えるコツをつかむために是非読んでもらいたいと思います。