9.11その他大災害で生き残った人の綿密な記録やインタビューで人々の行動、何が(結果として)生死を分けたかのドキュメントが内容の多くを占める。但しそれだけではない。的確な判断には、訓練・経験に加えて、知能、脳の生化学的遺伝的形質・特徴(分泌される脳内物質、海馬のサイズ等)が大きく影響しているとの説明もある。要は遺伝的素養、才能がすべてかと少し落胆する。それが延々続くかと思ったところで再び当初の体験談に戻る展開は読者を飽きさせない巧みさがある。体験談の描写は臨場感溢れ素晴らしい。レビューアーもワールド・トレードセンターに勤務した経験があるが、当時いたら確実に死亡していた。ビルは耐火、航空機衝突でも倒壊しない、慌てて逃げるのは最悪の選択、ドアを閉めて室内で救助を待てと指導されていた。友人,同僚数人を失ったが、彼ら彼女達も同じように考えたのではと思うとやりきれない思いが残る。ただ災害の場合とテロのような犯罪行為では条件が異なるのではないか。その他、非常に読者にとり参考となるのは、有効な呼吸法、身がすくむ、視力が落ちる、災害の過小評価・何も行動しない、など災害時に生じる共通現象についての言及である。自分の経験に則しても実に納得。これは今後の実行動に生かせる。著者、訳者に心から感謝。少しでも生き残るチャンスを増したい人は一読されたい。