でも本書を読んで納得できる人はすでに「生きる覚悟」をしているであろうし、わからない人は結局はわからないで(つまり認知することを拒否して)終わる場合が多いのではないだろうかと思ってしまったりする。内容については大変に正確に描写、そして表現されていると思う。そういう意味では生きることはとは何かについて簡潔明瞭にまとめあげられている書とも言えると思う。序論のところの「連絡をくれなかった」話をコメントしている点については違和感を感じるが(自分にとっては本書で取りあげている内容と合致しないポイントだと感じたので)しかしそれでもまぁよくこれほどまでに首尾一貫と視座をまとめあげてくれていると感心する。著者は仏教も研究されているようなので、その辺りの考えがベースになっているからなのかもしれない。私は本を読むときにはブックマークをしながら進むのですが、著書の主張がまとめあげられていると思われる文章が幾つかありましたので、引用させていただきます:
----------
「今の日本人は、自分に与えられた世界の外側に対して、異常なほど弱くなってしまっているのです。そして、そのことを自分自身も無意識では分っているから、自分の巣から一歩も出ようとしないのでしょう。」(P70)
「自分の中に確固として『覚悟』を築くこと、それが私たちに求められています。世間に流されて生きるのがだけが人生ではない。他人の期待通りに生きるのだけが人生ではない。そして社会の自明性に添って、自分の頭で何も考えず、ただただ処世に生きるのが人生ではない。」(P78)
「自分にとっての基準は、自分が自立していかなければ獲得することが出来ません。そして、真に自立を考えるとき、逆に自分にとっての救いや支えを確立していかなければいけないことに気づくことでしょう。」 (P91)
「今の日本を見てみると、自分たちが成長のタネをつぶしているような気がします。」 (P93)
「もう私たちは、『覚悟』するべきときなのです。ただただ流れている人生ではダメなのだということを、しっかりと自覚し、覚悟の行動を取ることが求められているのです。」(P172)
----------
侍の生き様から本書で書かれている内容を理解することもできるのではないかと思った。次の映画がお薦め:
切腹 [DVD]
それから後悔をしてしまうような生き方はしないようにと訴えかける、黒澤明の次の映画もある:
生きる<普及版> [DVD]
----------
中盤において著者は次のように述べられている:
「我々日本人は『同調圧力』に弱い民族、という側面を持っています。そして、この「同調圧力」から私たちをいかに自立させていくのかを、私はずっと考え、行動してきました。」(P84)
このような心強い発言、とてもうれしいです。私も同じように考えてはいるのですが、自分自身が変わることによってしか全体に貢献する力しか保有してはいない。マクロレベルで日本の「エンジニアリング」をどうしたら良いのかについて考えておられる筆者のような方がいることに希望や自信をもちます。生きるってことは勇気を持つこと、勇敢であれってことなのかなぁ、と考えたり。私は頑張っています、みんなもがんばれ〜