既成仏教への不満が広がるなか、注目を集める初期仏教。その先導役たるスリランカ上座仏教長老スマナサーラ師と、メディアの一線で活躍しつづける精神科医・香山リカがついに対談。
自殺、うつなど、閉塞する現代人の心に、斬新な発想の転換を促す初期仏教の考え方。現代の心の問題を問いつづける精神科医はそこに何を見るのか。信仰、宗教、自我、子育て、豊かさ、ヒューマニズムなど、人間が生きるために最もの大切なことを語り合った七時間。
人間を学ぶことというのは、仏教を学ぶことと同じなんですか。(中略)ピエロ役じゃない宗教の役割、つまり、生きるベースの部分を教えるのが本来の宗教の役割で、長老たちの仏教はそれをしているということですか? ----(香山)
問題はですね、ものの見方、世界をどう見ればいいか、自分のことをどう見ればいいかという、人間には欠かせない教育を誰も受けていないことなんですね。(中略)仏教に限らず、本当はすべての宗教はその仕事をするべきなんです。本来の宗教の役割は、一貫して生きることの勉強をさせてあげることなんです。「このように生きてみなさい」と。だって道徳を説いたり、生き方を教えるのが本来の宗教の仕事なんですから。
----(スマナサーラ)
登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
本書から何を読み取るかは、どういう問題意識を持って読むか、読者次第。,
By
レビュー対象商品: 生きる勉強 (サンガ新書) (新書)
本書は、南伝仏教の長老スマナサーラ氏を語り手、現役の精神科医でもある香山氏を聞き手として行われた対談の内容をまとめたもの。増加し続ける心の問題、肥大化する自我、現代日本社会の世相、精神医療のあり方、心の弱さと宗教の役割、ヒューマニズム、我々はどう生きていくべきか…、といった問題に関して香山氏が問いを投げかけ、スマナサーラ氏が応える、という形式で対談は進む。必ずしも何かしらの結論が導かれるわけではないので、本書から何を読み取るかは、どういう問題意識を持って読むか、読者次第だと思う。香山氏が非常に率直な態度を見せていることに驚いた。医者として患者と対面しつつも「これでいいのか」と思い悩む自分自身を隠さずに晒している。同時に、スマナサーラ氏の言うことに何かヒントはないか、医療に活かせるアイデアはないか、「外部の視点」を貪欲に学ぼうとしているように見える。彼女が何について悩んでいるのかを意識しながら読めば、この対談をより深く理解することができるだろう。 対するスマナサーラ氏が全く揺るがないのがちょっとツマラない(笑)。この対談を機会に自らの立場を問い直すつもりがあるようには見えない。彼の言葉は日常的な言葉だけれど、独特の仏教的な意味合いで用いていることが多い。本書では、『怒らないこと 2』(2010年 サンガ)のようには仏教の考え方が体系的に述べられていないので、スイスイ「わかるわかる」と思える本ではないかもしれない。 仏教的価値観では、人(心)というものは放っておくとロクなものにならないから、幼い頃から時間をかけて育ててやらなければならない。そのために必要なのが、本書のタイトルでもある「生きる勉強」。それは、自らの感情に操られないこと、理性的に生きることを学ぶことであって、まさに「怒らないこと」を学ぶこと。スマナサーラ氏の一連の著作が「生きる勉強」そのものであることがわかる。
22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
仏教の達人,
By
レビュー対象商品: 生きる勉強 (サンガ新書) (新書)
仏教は科学と言い切るスマナサーラ氏の様々な言葉はまさに人生の本質を突いていると思った。素人目線で質問する香山リカ氏に対して無駄のない的確な言葉で答えている。イスラム教やキリスト教を否定したのにはびっくりしたが、これはスマナサーラ氏が仏教は宗教というより基本的なヒューマニズム、道徳の実践にすぎないのに対して、他の宗教はその宗教を信仰する者だけが救われると主張している点で排他的だという事を批判したものである。これは仏教徒として厳しい精神的な修行と徹底的な思考の訓練によって得た、仏教に対する絶対的な信頼から来る余裕の発言にも聞こえる。何もかも行き詰まった感のある今の時代にはスマナサーラ氏のような人物が必用とされるのだろう。皮肉ではなく「(人生を)軽くして生きるため」には真摯な「生きる勉強」が必要だという事が良く分かった。
16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
香山氏の真面目さに感動します,
By
レビュー対象商品: 生きる勉強 (サンガ新書) (新書)
長老の御本は、今まで何冊も読んでいるのですが、今回は、聞き役の香山リカ氏の聞き方が上手なので、より理解しやすい本になっていました。この本を読んでいて感じたのは、精神科医としての香山氏の誠実さ、真摯さでした。現場で出会うケース等から、現在の日本における病理に真剣に悩み、そうして困難を抱える人を助けたいと思っている氏の努力が伝わってきました。次のような記述に、感じることが色々ありました。 ☆ ☆ ☆ 香山)ただ…相談に来る人たちに「じゃあ、何が意味があることですか?」って聞くと、最終的には「自分でなければできないこと」とか「他の人とは替えがきかないこと」っていいますね…。(略)たとえば、死んだときにたくさんの人が泣いてくれるような自分になりたいとかね。 スマナサーラ)死んだときにたくさんの人が泣いてくれたって、死んでるんだからそれはわからないでしょうにね。自我をものすごく張っちゃっておかしな思考になっている人たちは、死後みんなの泣き声が聞こえるとでもいうんでしょうかねえ。私だけにしかできないこととか、死んだときに多くの人に泣いて惜しまれたいというのは、結局すっごいエゴでしょ? 香山)まぁ、そうです。 ☆ ☆ ☆ 私も、死んだときにたくさんの人が泣いてくれる人が成功者だなあ、でも私は、あんまりそんな人はいないだろうなあ、と寂しく思ったりするので、なるほど、と思いました。また、香山氏が「いろいろな人がいる。そういうことを考えなくちゃいけない。」といえば、「資本主義ではそんな少数者のことまで気配りするような考えでは生き延びていけない」と話した学生がいた、という話も、そういうことに真剣に悩む香山氏の姿勢にもなかなか感銘を受けました。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
|
|