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生きるための経済学―“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス)
 
 

生きるための経済学―“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス) [単行本]

安冨 歩
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

"見えざる手"の罠を解く。

歴史学・物理学・心理学・経済学......諸学を越え「市場/共同体」の彼方を問う画期的経済論!

内容(「BOOK」データベースより)

「消費依存」「ワーカホリック」「バブル現象」「環境破壊」…現代社会の生きづらさはどこからくるのか。出来るかぎり自由であるために選択肢を増やそうと、私たちは貨幣に殺到し、学歴や地位の獲得に駆り立てられる。アダム・スミスから現代の市場理論にまで通底する、“選択の自由”という希望こそが現代社会を呪縛しているのだ。市場(イチバ)で飛び交う創発的コミュニケーションを出発点に、生を希求する人間の無意識下の情動を最大限に生かすことで、時代閉塞を乗り越える道を探究する、著者渾身の市場経済論。

登録情報

  • 単行本: 253ページ
  • 出版社: 日本放送出版協会 (2008/03)
  • ISBN-10: 4140911077
  • ISBN-13: 978-4140911075
  • 発売日: 2008/03
  • 商品の寸法: 18.2 x 13 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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18 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 自由の側面から経済学の本質を捉えようとした書籍は、間宮陽介氏の論考をはじめ、優れたものがいくつかある。しかしそれらの本があくまで正当な経済学史の流れの中で語られてきたのに対し、この本は完全に突き抜けている。氏はスミスに始まるこれまでの経済学は死にいたるネクロ経済学であり、選択の自由が実は自由の牢獄に過ぎないと主張する。経済人という理論的存在の合理的行動を前提する経済学のうそ臭さに気がつくのは、確かに毎日の普通の人間として生きている瞬間においてでしかない。
 論の中ほどで、われわれの生き方の話になって、そこで氏の痛切な個人的体験が語られるのだが、それには一瞬の違和感が生じたことも事実である。しかし、多くのこどもたちが氏の経験したつらさを現実に感じていることは、子供の相手をする仕事をしていれば、容易に理解できるところである。経済学のうそ臭さを感じる瞬間が個人の生き方のなかに現れるのなら、氏の体験談が、ただの個人的感傷を超えて意味を持ってくるのだろう。
 おそらく経済学が科学であろうとすることがそれらしいアルゴリズムを必要とし、選択の自由という概念との親和性を生んでいるのだろうと思う。ビオ経済学が科学であるべきなのか、経済学の存立基盤を射程に入れた議論になっていくことを期待したい。
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30 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 仮面ライター VINE™ メンバー
形式:単行本|Amazonが確認した購入
  
 まず、本書の読後感を率直に述べると、やや「尻切れトンボ」的と表現すべきか、無論「画竜点睛を欠く」といった評価までには至らないものの、私にはそういった“もやもや”感を払拭できないままでいる。確かに、著者の首唱する「ネクロフィリア・エコノミックス(ネクロ経済学=死に魅入られた経済学)」から「ビオフィリア・エコノミックス(ビオ経済学=生を志向する経済学)」への思考転換は、まさに緒に就いたばかりであると思われる。しかし、さすがに「仁を欲する」といった孔子の世界へはストンと入りきれず、立ち往生している、というのが、私の正直な感想だ。

 とはいえ、著者の問題意識は重々感じ取ることができる。たとえば、市場経済(理論)における「自由」とは、畢竟「選択の自由」であるわけだし、その「選択の自由」とは、著者が明証するように、西欧的文脈における「プロテスタンティズムの神学と整合している」(本書)。そして、今日の資本主義市場経済体制下を生きる私たちは、ア・プリオリに「自由とは責任を伴う選択である」(P.F.ドラッカー『産業人の未来』)として、この「自由」を受け入れているのだが、著者は「選択の自由」が「自由の牢獄」(本書)に転化する蓋然性を、E.フロムなどに依拠しつつ示教する。

 現代経済学で論じられる「自由」をもう少し掘り下げると、それは「無差別曲線(効用関数)」などで象徴される「数量化された自由」(佐伯啓思『隠された思考』)と読み替えてもいいのかも知れない。だが、それは「設計された市場」に基づく「管理された自由主義」(佐伯、同)と同義であり、行動経済学(経済心理学)等の発展があるにせよ、これらは“経済学のプロテスタント神学”を突き崩すまでには到っていないと考える。それはともかく、メインストリームのミクロ理論等を学んで当書を読むと、かなり戸惑いも生じるだろう。それでも経済学を志す人たちにこそ、向き合ってもらいたい書冊である。 
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ladymarmalade トップ500レビュアー
形式:単行本
本書はアダム・スミスが基礎を築いた経済学の根源的な矛盾点を問う。著者の広範に及ぶ知識と学際的な研究に基づく、その分析は論理的であり説得力に富む。著者は、現代社会で言うところの自由は結局のところ「選択の自由」に過ぎず、しかもそれは、実行不可能な不条理な自由であり、「自己欺瞞」を通じて、人々を自由の牢獄に閉じ込めると指摘する。さらに、「選択の自由」の陰画である「共同体による紐帯=束縛」という概念を論じ、それを思考から取り除いた『論語』の「道」を考察する。そして、「自己欺瞞」がもたらす経済的帰結の悲惨な結末を考察することから、選択の自由の追求が人間性の疎外や環境破壊をもたらすことを論じる。知的好奇心を大いに刺激する興味深い書であるが、最後に、それらを超克した「生きるための経済学」を述べるのであるが、この部分だけ考察が不十分な印象を受け、残念であった。それを除いた分析の部分が素晴らしいだけに、終章の中途半端さが逆に際立つ。とはいえ、それは玉に瑕といった程度のもので、本書を読まない理由にはまったくならない。経済学が胡散臭いと思ったことのある人、必読の書である。
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