筆者は、第一部「子どもの問題と自己肯定感」において、
子どもに向きあう際の「共感」することの大切さを主張している。
共感とは、子どもを人間主体として尊重して、その心に耳を傾けること。
共感がなければ、子どもは「自分が自分であっても大丈夫」という安心感(自己肯定感)
を育むことが出来ず、常に「見捨てられる」不安を感じることになると筆者は言う。
第二部「生きることと自己肯定感」では、過去に囚われず、過去を教訓にして
新しい自分を生きること、自分を変えていくことの大切さが主張されている。
筆者曰く、日本人は過去の戦争を理解し、罪悪感を感じて、過去を教訓として
新しい平和な世の中を目指すべきなのに、無反省に歴史的事実をねじ曲げて
歴史教科書の改悪を試み、自衛隊という軍隊をアメリカの侵略戦争のために派遣し
あまつさえ、平和憲法を改悪しようとしている。これでは国民は誇り(自己肯定感)を
持てるはずもない…云々
第三部「平和と自己肯定感」では、自己肯定感を持って、
自分とたたかわないこと、また、他者を尊重して他人とたたかわないこと、
そして(平和という)大きな存在に身を委ねる、平和憲法を守ることの
重要性が指摘されている。
筆者の「自己肯定感」に関する考え方には共感できる部分もあるが、
全編に渡って筆者の政治的信条が色濃く反映されており、目障りに感じた。
特に第一部については、臨床心理士としての経験を踏まえ、自己肯定感の考察に
真摯に取り組む姿勢が見られるが、第二部以降は、自らの政治的信条と
自己肯定感とを無理矢理結びつけた印象で、趣旨が分からなかった。
もっと臨床心理学に重点を置いた内容を期待していた。