いまや多くの人にその存在を知られている、少壮の脳の専門家・茂木健一郎の、若き日のさまざまな考察、心情をつづった書。
この本を上梓した当時、彼はまだ30代そこそこであった。そこに見えるのは脳の問題だけでなく、生と死にまつわる問題や、いろいろな物事に対し、迷いや葛藤、不安を抱いて苦悩する彼の、あまりにもナイーヴな姿である。この本の中の茂木は非常に青く、痛々しいほどに魂を震わせている。その魂の震えが、読む者の肺腑をぐっとえぐる。この書は、まさにピカソならぬ茂木の「青の時代」ともいうべき青春の書である。
この本には、脳科学者としてだけでなく、人生を深く洞察する哲学者として、既にその片鱗を現わしている彼の姿が、彼自身の言葉を通して描かれている。
優れた科学者はその内面に哲学者としての顔を持っている。茂木健一郎もすでにそれら優れた人達の系譜の中に入っている。その確たる証拠の一つが本書である。