定時制高校で1986年から短歌を使って指導した23年間の授業記録。生徒と教師たちの「格闘」も混ざり、感動の物語である。
「鉄工所僕の仕事はフライス盤仕上げの削り幅五〇ミリ」山方陽広君。1994年の作。
評者は定時制出身。四期生の76歳。鉄工所にも長く働いていて、山方君の言う「削り幅五〇ミリ」がいかに優れた技の成果かが分かる。
辛い話が多い。神戸大震災を経ての記録だから定時制でも並みの話ではない。
終章から読むといい。ほっとする話の陰に辛苦があると分かって読み続けやすい。
いま、定時制高校で定員を超える応募者があり、入学困難な校が続出しているという。ここにこそ予算を多く付けるべし。
拙駄作。「定時制卒えて今あり振り返る六十年の昔輝いてあり」(「輝いて」は「かがよいて」と読んで下さい)
「薄暗き教室にあり我が春の日々いま定時制に送り届けん」