「ドグラ・マグラ」という摩訶不思議なタイトルの小説の存在と
著者の夢野久作の名前だけは知っていたが、なんとなくずっと避け続けてきた。
でもこの度、「ドグラ・マグラ」ではなくこの本から夢野久作の世界を覗かせてもらった。
「ドグラ」には一種、警戒心を持っていたのに、短編集だからと、ちょっと油断したかもしれない。
比重の重い小さな金属をふいに手のひらに載せられて、
その小ささに釣り合わない重さにギョッとしたような時のような気分というか・・・。
そういう時って一瞬薄気味悪いな〜という感情を持ったりするものだが・・・。
この短編集に自分はそんなイメージを持った。
文庫のタイトルでもある「瓶詰の地獄」は、行間からどす黒く異様さが漂ってくる。
ほんの短い小説なのに、底なしの広がりをもっている。
この本からだけの印象で語ってしまうが、さて、著者の意図は??と考えると、
「読む者に人間の持つ狂気に気づかせること」、という点がどうしても浮かんできてしまう。
著者の創りあげた狂気の世界を共有しないと内容をより深く味わえないということに
読んでいるうちにいやおうなしに気がつくので、読み手は怯えながらもそろそろと
著者の提示してくる狂気の世界を受け取るはめになる。
著者の狂気の世界を共有する、させられる、ということがこの本の一番恐ろしくて無気味なところだと思う。
引っかかってしまった人はこれは縁だと思ってあきらめて(笑)
気合を入れなおして思い切って読んでみるしかないかも。