売れている環境本は、大まかに分けて「危機を煽るもの」と「危機を否定するもの」の二種類に分かれます。どちらも根強いファンがいます。主張が明確で先鋭的であればあるほど、分かり易い良書とされます。
本書は、そのどちらでもありません。だから、どちらの本の読者からも支持されないのです。
危機を煽っている方は、本書にその行き過ぎを戒められ、危機を否定する方は、本書にその視点の偏りを批判されます。ですから、最も環境問題に対してバランスが取れている本なのに、根強いファンが現れないのです。両者にとって、本書の主張は不明確で、承服できないものに映ります。
しかし、それこそが本当の環境問題の姿なのです。著者は環境行政を担う役所で、双方の意見も聞く機会もあったし、行政の今後を検討する場において、最新の科学的知見に触れる機会もありました。そこで見出だした、イチかゼロかで割り切れない、環境問題のありのままの姿が、本書となって結実しています。
中立的な立場を取るが故に、タイトルが懐疑派よりでありながら中身がそうでないために、なかなかファンの増えない本書は、環境問題の何たるかを我々に示しています。本当は、これこそが環境問題を語る上での良識の筈ですが、いつの世も、悪貨は良貨を駆逐するものです。