『The Skeptical Environmentalist』の主張はこうだ。オゾン層に開いたホール(穴)は回復しつつある。アマゾンの森林は人類が誕生してからわずか14%しか減少していない。今後50年の間に絶滅する生物種はわずか0.7%である。それまでに貧困にあえぐ人々ですらより裕福になる。物事は決して十分に良い方向には動いていないとしても、私たちが教え込まれているよりも、はるかに良い方向に向かっている。――ロンボルグは、統計学の教授であり、元グリーンピースのメンバーだ。著者は、地球滅亡の危機説に繰り返し用いられているデータが、複雑すぎるうえに混乱していて、とにかく間違った使われ方をしていると言う。だからといって本書は、決して人々に安堵感や慰めを与える読み物ではない。また、何もしなくてもよいと人々を先導するような内容でもない。
著者は、多くの人々が利用する数値と同じものを使って説明をする。政府機関、京都サミット、グリーンピースで扱われているのと同様のデータだ。これまで素データについて詳しく論議がされる機会はあまりなかっただろう。たとえば歴史的背景、算出方式、長所および弱点などについてだ。またロンボルグは、人類および環境危機に対して私達が持つ認識は、最新の科学や環境機関、メディアによって人為的に作られたものだと断言する。高まる人々の絶望感に対して責任を負うべき者はいないが、私達が知らされる情報に対しては責任を負うべき者はいるはずだ。真のリスクは何か、それに対して何ができるのかを知る必要があるのだ。(京都会議? これはよくない事例だろう)。それにはまず、優先順位をつけることだ。(30ペンスでオーガニック・バジルを買うのか? それとも冷たくてきれいな水をシエラレオネで買うのか?)。まだまだ手立てを講じる余地はあるのだ。パニックからは何も生まれない。
本書は、環境で話し合われている議題を見直すべきだと主張した『Silent Spring』 (邦題『沈黙の春』)の現代版ともいえる。子ども達のためにも、大人達は我々が住む世界がどのようなものかを理解しなくてはならない。これは必読の1冊なのだ。(Simon Ings, Amazon.co.uk)
--このレビューは、同タイトルのペーパーバックのレビューから転載されています。
(日経エコロジー 2003/10/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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環境危機を伝える言説が実は極めて恣意的に選ばれたものだったりとか、
視点を変えるだけで、ある状況から受ける印象というのは驚くほど変わる、
ということだとか、環境を巡る定番話の多くが的外れだという筆者の指摘は
多くの人にとっては驚きだろう。
本書がヨーロッパで大きな議論を巻き起こしたこともうなずける。
かといって筆者が環境保護を否定しているわけではない。
それはなにより、「地球を大事に思ってはいる」が、
「思い込みだけで行動したくはない」という筆者の姿勢に現れているし、その姿勢には好感が持てる。
例え飢餓で苦しむ人が減っているからといってゼロではない。
いたずらに人々に恐怖を植え付けるのではなく、事実に基づいて
優先順位を決め、長期的な環境管理を行うことが重要なわけで
事態が改善しているからといって安心はするな」っていう
筆者の指摘は重要だ。
700ページの大著だが、読んで損はない。
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