著者は、ドイツ南西部のカールスルーエ市在住の環境ジャーナリスト松田雅央氏。ドイツ視察レポートとは違って人肌の実感が伝わる。その環境・街づくりは、うらやましいほど理に適っている。
読む人は、いろいろな教訓を得るはず。私が面白いと思ったのは。
1)カールスルーエ市の人口30万人、市の公園局の職員300名、うち設計・事務70名。まず、設計重視が素晴らしい。全体設計が良くないと、無駄・非効率・無秩序を招来する。日本の街にはたくさん税金を投入したはずだけれど、美しくならない。
2)公園にはクラインガルテン(市民菜園=総面積316ha)が含まれる。市民の10%程度が楽しんでいる。雨水の利用、安全なコンポストの利用などの規律がある。土と親しめて心身の健康増進になる。野菜などを栽培できる(家計の補助にもなるので、景気浮沈の際にクッションになると思う)。また、コミュニケーションの場にもなっている。
3)水道・水資源の保護の徹底。
4)サイクリング道の充実。トラムにも自転車を載せることができる。
5)自然エネルギーの導入の工夫(現在、ドイツは太陽光発電に力を入れ、世界の先端を走っている) などなど。
他に、エコロジー住宅の話が興味深い。住宅は古くなったけれど、最近また見学者が増えているという。理由は、共同社会の価値が見直されてきたから。みんなが知り合い。料理の材料が足りなくなったら、隣近所から借りてくる。外出時には子供を預ける。そんなコミュニティ社会(設計段階から関与していることも大きい)は、やはり良いなということだろう。