環境の利用価値評価、汚染による損失評価が主に展開されている現代において、非利用価値という価値評価に経済学を用いて理論的評価を試みる貴重な書。
環境の非利用価値はバイアスの問題、それに関連する評価の信頼性の問題が指摘されている。
それを踏まえてこの書では、次の点が優れていると評価する。
・経済学において環境価値を考える場合の一つの理論的考察がなされていること
このことは非利用価値を考える人に限らず、環境価値に興味がある人々にとって、環境の経済学的価値を考える際のひとつの基礎的な知識として有益だと思う。
経済学に抵抗がある、という方でも理論的な章以外の部分を読むことでこの点を概観できるので、知識の幅を広げるには有用であると感じた。
・環境の非利用価値評価をめぐる議論に正面からぶつかっていること
議論の多いこの分野で科学的に明らかな点とそうでない点との棲み分けを明確にし、妥当な評価を導くために必要なことは何かについて論じている。
読者として注意すべき点は何処にあるのか、はっきりと認識できるため、このような論述は理解を助けてくれる。
繰り返しになるが、経済学に抵抗がある方でも有用であると思う。実際、数式を用いた経済学の理論的洞察は1/3-1/4くらいだろうか。
環境価値について知識を広げるための書として、一読してみては!