[まえがき」と「あとがき」にて著者自身が述べているように,著者はエマル
ジョン燃料の開発にも,その燃焼研究にも経験がない。さらに内燃機関の実験研究
の経験もないようだ。
そのため,エンジンメーカや乳化機メーカによる報告をもとにした推測や
伝聞にもとづく単なる「素人の解説」と思える部分が,多々見受けられる。
そのせいか,たとえば,エマルジョン燃料の導入による界面活性剤の費用,乳化装置
システムの導入費の減価償却期間,自動車用エンジンにエマルジョン燃料を適用する
ことのリスクなどは,全く述べることができない。
要するに,本書の記述内容には,エマルジョン燃焼の専門家による検証が著しく
欠落している。
第7章では,エマルジョン燃焼について,著者の推測や引用をもとに,「過剰発熱」
や,あれこれの仮説を開陳している。しかし,ここにも燃焼の専門家による検証が
全くない。 末尾の参考文献リストを 見ると,著者が参照したらしい燃焼工学の文献は,
わずか,一冊の書籍と2編の研究報告のみである。
本書に強く望まれることは,やはり,専門家による詳細な記述内容の検証である。
それによる今後の改訂がなければ,本書は,単なる「素人解説の宣伝パンフレット」
に落ち着くであろう。
一方,エマルジョン燃料の考えが社会的に普及されること自体は良いことで
あるから,この本が,それを少し手伝っていることの意義は認める。