最初に断っておきますが、私は大学生で民俗学などや日本古典文学とは関係ない学問を学んでいます。
柳田國男や京極夏彦などによる日本の伝説や民俗学をモチーフにした作品が好きで、「これも面白いかな」と手にとってみました。
内容は極めて学術的です。学術的というのは、面白いエピソードを全面的に取り上げよう!というわけではなく、あくまでも民俗学的な観点から「琵琶法師」、つまり琵琶で物語を語り継げていく、シャーマン的な役割を担う日本の歴史における人物たちを分析するという体でこの本は成り立っています。ですが特に専門的な用語がいっぱい出てくるわけでもなく、初学者(というのでしょうか?)でも普通に読み進めて行くことができます。
また、学術的な内容であっても、取り扱っている「琵琶法師」というサブジェクトそのものが大変興味深いので(これはもちろん人によって意見は分かれると思いますが)出てくる事例ひとつひとつが(そう意識していないでしょうけれども)実に面白いので、読み物としても非常に優れています。小説気分でサクサク読んで行けます。
ただし、多少は日本の歴史、とりわけ源平合戦などの「琵琶法師」を取り巻く歴史を理解していないと読み進めるときに「なんだろう?」と思ってしまうかもしれません。年号などがきちんとつけられているので、年表を追いながら読むのも面白いかもしれません。
個人的に☆4としたのは、付属のDVDがかちっとディスクを止めるタイプのDVDプレイヤーでしか見れないこと(殆どのパソコンのDVDプレイヤーやPS2,PS3などでは見れないです)が残念なのと(本のサイズからして仕方ないのでしょうけど…)文献目録のようなものがないので(一応文中にいくつか出てきますが、こういう内容を取り上げている本だけに、詳しいものが巻末に欲しかった…)、さらに詳しく調べたいと思っても難しいことからです。