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琥珀の望遠鏡 (ライラの冒険シリーズ (3))
 
 

琥珀の望遠鏡 (ライラの冒険シリーズ (3)) [単行本]

フィリップ プルマン , Philip Pullman , 大久保 寛
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)

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 『The Amber Spyglass』は、冒頭のシーンからいきなりスリリングな展開で読者の心をむんずとつかむ。差し障りのない範囲であらすじを紹介しよう。

   前作『The Subtle Knife』(邦題『神秘の短剣』)でライラを捕らえたのは誰かという謎はすぐに解き明かされる。だが、その人物のもくろみが善なのか悪なのか、それとも心を決めかねているのかは依然として謎のままだ。また、世界を分断するよう託された剣はまだウィルの手の中にある。そしてその彼をアスリエル卿がいる山頂の要塞まで導くように定められた、翼をもつ2人の天使が仲間に加わる。だが、この少年ウィルの目的はただひとつ。それは、友を救い、彼女に「真理計」(アレシオメーター)を返すことだった。アレシオメーターとは、彼女にとっても『The Golden Compass』(邦題『黄金の羅針盤』)と続編『The Subtle Knife』を読んだ読者にとっても、多くを明らかにしてきた道具である。セラフィナ・ペカーラが腹ぺこのイオレク・バーニソンを捜し出し、アスリエル卿の十字軍に入隊させるときには、読者も「瞬く星明かりのようにぞくぞくした感じ」を同時体験することとなる。

王の心の中でいくつもの思いがクモの糸のように絡まっていった。飢えや満足を超えた何かが膨れ上がっていく。あどけない少女ライラの記憶だ。王がシルバータンと名づけた女の子。スバールバルでいまにも崩れてしまいそうな雪の橋を通り、地表の裂け目の上を渡ったあのときに最後に見た女の子である。そのあと、魔女たちがいろいろなことを言いふらし、協定を結ぶとか同盟をくむとか戦争になるといった噂が広まったのだ。思えば、この新世界が誕生したこと自体が不思議な事実だ。しかも、魔女たちはこういう世界はほかにもたくさんあり、それらの運命がすべてあの子に託されていると言ってきかなかった。

   一方、教会は二派に分かれて、ライラを見つけようと躍起だった。そのうち片方は、恐ろしい計画を滞りなく実行できるよう、僧侶に「赦免の前貸し」さえした。こういった暴君たちは、この少女の抹殺を「聖なる仕事」と見なしていたのだ。

   3部作を締めくくる本書で、フィリップ・プルマンはこれまで以上に高いハードルを自らに課した。アクションと独創性の点でも前作に匹敵するものを作らなくてはならなかったし、前作で未解決だった謎もことごとく解決する必要があった。うれしいことに、本書には読者を落胆させるような最悪の展開はひとつとしてない。だからといって、息詰まる展開やまさに危機一髪というシーンに欠ける、ということではないのだが。(もし本書にそういった要素が不足しているというなら、十分だといえる本などほかにないだろう)

   しかし、プルマンは『Paradise Lost』を彼なりに大胆に改訂したとも思える、穏やかであると同時に悲劇的な結末を用意している。叙情的なSFではあるがわかりやすいこの散文作品の中で、著者は自らのテーマを徹底的に表現している。また本書でほかにもいくつかの世界をつけ加えて表現している。そのうちの1つの世界では、一見すると単純な生物の集まりに、メアリー・マローン博士が温かく迎え入れられる。「ミュレファ」の環境(ここでもこれ以上は明かせないのだが)によって彼らの意識は豊かになり、その生活はゆったりとした一定のリズムが保たれるのだ。ところが、この不思議な生き物たちは、必要とあらば俊足にもなれる(体のほかの部分も素早く動かせるようになる)。

   だが悲しいかな、その牧歌的な風景に「ダスト」が流れ込むと、彼らは全滅の危機に瀕する。オックスフォードの秘密研究者メアリーは、はたして彼らを救う方法を発見できるのか? それとも我らが若きヒーローたちの助けが必要となるか? メアリーが治療方法を解き明かそうと必死になっている一方で、ウィルとライラは最も残酷な形での犠牲、あるいは裏切り行為を強いられながらも、すべての光と希望が失われた王国への巡礼へと赴くのだった。

   この、衝撃の長編英雄小説を通じて、プルマンは鳥肌が立つほど美しく優しさに包まれた場面を絶やすことがない。またその中には、くすっと笑える息抜きの場面も加えている。ライラの母親が教会の下っぱを痛めつける一連の場面などは、よい例だ。「男はただただひたすら謝り続け、やっと彼女は去って行った。彼女の後ろにいた番人はほっとしたため、ほっぺたをぷくーっとふくらませた」。 コールター夫人が、相変わらず我々を楽しませてくれる目の離せないキャラクターであることは言うまでもない。物語の大詰め、絶望的なシーンで彼女がとる行動は、読者の心に彼女への畏敬の念を育むか? この点でも『The Amber Spyglass』は、真の意味での啓示の書といえるだろう。目前の暗闇から光を放つ真実へと、我々を導いてくれるのだから。 --このテキストは、 ハードカバー 版に関連付けられています。

内容説明

'We're going to the land of the dead and we're going to come back' - Will and Lyra, whose fates are bound together by powers beyond their own worlds, have been violently separated. But they must find each other, for ahead of them lies the greatest war that has ever been - and a journey to a dark place from which no-one has ever returned... --このテキストは、 ペーパーバック 版に関連付けられています。

登録情報

  • 単行本: 678ページ
  • 出版社: 新潮社 (2002/01)
  • ISBN-10: 4105389033
  • ISBN-13: 978-4105389031
  • 発売日: 2002/01
  • 商品の寸法: 19.4 x 14.4 x 4.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 379,483位 (本のベストセラーを見る)
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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mizue
形式:単行本
 とにかく最終巻が待ち遠しかった。

 オックスフォードを出発して北極へたどり着き,異次元の扉をいくつも抜け,スペクターと戦い,どこへつれて行かれるのか先が見えないスリリングなストーリーもついに終わりが来た。「楽園追放」と「黙示録」の聖書のモチーフを下敷きにしながら,しかしこれだけキリスト教を批判し,哲学的なテーマを取り上げたファンタジー作品も珍しい。キリスト教の終末思想に見られる直線的な世界観に東洋思想の循環する世界観を融合させた新しい世界観の構築。生きている意味は自らの手で作るという実存主義的な魂の覚醒。作者の深いメッセージに読後,余韻が醒めやらなかった。ラストは本当にせつない。けれどもまさに神なき時代に生きている私たちに,人生を自らの手で切り開き,歩んでゆく勇気をライラとウィルは与えてくれる。

このレビューは参考になりましたか?
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By onibaba
形式:単行本
ライラとウィルが再会し、二人の冒険は息もつかせぬ大団円へ…ノンストップで楽しめました。その上、根底に宗教批判や生きている意味等、哲学的メッセージが流れているわ、コールター夫人やアスリエル卿のような複雑なキャラクターの脇役はいるわで、ただ面白いだけの本ではなかった。世のお母様方、ハリーポッターより断然深いし、おすすめですよ。

完結編待ちきれなくて、原書が出版されたときに読んでしまったので、原書の流れるような美しい情景描写等が生かされていないのが引っかかりました。ちょっと子供向けを意識しすぎた訳で、ライラとウィルってこんなに乱暴な言葉遣いをしていたっけ?とか。そこが少し残念で・星一つ減点。

このレビューは参考になりましたか?
13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「冒険」モノとして読み始めたのですが,第3巻の最終ページを閉じた後,「実は,愛の物語だったんだなあ…」と,しみじみ感じました。ライラと熊の王イオニクの互いに信頼しあった愛,ウィルの母を思う愛,ライラの父と母の屈折した愛,そして,ライラとウィルの純粋な愛…登場人物全てが様々な愛で結びついているがために,悩み,苦しみ,旅を続けなければならなかったように思います。このシリーズを通して流れている宗教についての考えには,是非があろうとは想像できますが,それをはるかに越える作者からのすばらしいメッセージが,強く伝わってきます。ハリポタもいいけど,こんな,少しばかり重ための話も,なかなか良いですよ!!
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琥珀の望遠鏡―ライラの冒険シリーズ〈3〉
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       どこがイブなの?... 続きを読む
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うーむ
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投稿日: 2004/11/11 投稿者: gariben
ハリウッドに毒された人間の意見
ご購入の参考に否定的な意見を一つ。... 続きを読む
投稿日: 2004/10/27 投稿者: creed
素晴らしい
何て壮大な物語。素晴らしいとしか言いようが無い。... 続きを読む
投稿日: 2004/10/15 投稿者: ハイエナキャット
かならずはまります!
私は母にすすめられて読んだのですが、・・・はまりました!... 続きを読む
投稿日: 2003/9/6
new adventure begins here
The long adventure of Lyra and Will ends here. And "The Amber Spyglass", the... 続きを読む
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投稿日: 2002/4/7 投稿者: "fm2"
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