アイヌや北東北についても共通するが、琉球・沖縄は本州の畿内および関東から見ると辺境に属しているので、日本史の語るストーリーからすれば挿話的に扱われがちで、全体像をつかむのは簡単ではない。それでも前々から琉球・沖縄には興味があったが、今回本書を読んでみて、琉球王国についてはある程度の輪郭を描くことができた。
本書の構成は序章、第一章、第二章、以下第五章までと、終章の全七章に分かれているが、それぞれの章によって記述の方向が違っているので注意が必要だ。序章では琉球王国についての本書を書こうと思った動機を、第一章では沖縄研究の草分けとして伊波普猷と河上肇の二人を挙げてその研究姿勢を明らかにし、その問題意識をついで後続の第二章で古琉球、文明のあけぼのから17世紀初頭の島津氏による首里城占領までの歴史を纏めていく。第三章では、琉球王国が明の冊封体制に組み込まれることで東アジア、東南アジア、南アジアにまで広がる貿易ネットワークを一身に担った事実を鮮明にする。
そして、第四章と第五章、この二つの章が独特な記述になっていて、歴史家である著者の、辞令書解析を通じた琉球王国内部の組織形態を探る論考がここに充てられている。以前の四章分の記述とはタッチが違うので戸惑ったが、ここはそういう性質の章だと思えば興味深く読める。終章では、琉球史自体の意義と、日本史から見た琉球史の意義、琉球史から見た日本史の意義について触れられている。
史実としての琉球王国の存在は、その地域自体にとっての意義もさることながら、王国の誕生の経緯から見ても、その後の王国の推移から見ても、中継すること・つなげることが王国を隆盛に導き、衰退にも追い込んだことを教えてくれる。現在の日本の目線で言えば西南の果てという捉え方になるかもしれないが、本来は本州と中国、中国と東南アジア諸国などを結ぶハブとしての機能を受け持っていたこと、うっすらと聞いていたそんな説明を具体的な構図として理解することができた。王国の機構も、そんな王国のあり方に規定されて出来上がっていたことも。
次は北東北やアイヌについての著作を読みたくなってくる、日本のイメージをまた新たにしてくれる一冊。