内容紹介
近年の眼科学、特に光学機器の発展にはめざましいものがあります。屈折値を検査する手段は今やオートレフラクトメータだけではなく、波面収差解析装置や角膜形状解析装置、PSFアナライザーなど、眼球光学系の高次収差に至る詳細な解析ができるほど開発が進みました。初期型オートレフラクトメータは巨大で不正確なデータしか検出できず、スキアスコピーや赤外線レフラクトメータによる他覚的屈折検査に基づいて自覚的屈折検査を行っていた当時と比べると隔世の感があります。現在でも眼科臨床において「矯正視力値」は診断の入り口であるとともに基本であり、病態把握や経過観察の重要な指標となっています。また、眼鏡処方においては自覚的な屈折値が最も重要ですが、近年の光学機器の発展により、自覚的な屈折矯正技術は軽んじられ粗雑になっていることは否めず問題です。
そこで、この度、理論に基づいた視力検査・屈折検査を理解するために、レンズ光学、視力の視覚生理学、自覚的屈折検査を詳細に説明し、また高次収差に至るまで深く理解すべく『理解を深めよう視力検査 屈折検査』の出版を企画致しました。本書の特徴は、臨床で役立つ内容になるよう、眼科医・光学専門家・視能訓練士が協力して、それぞれの深い知識を執筆致しました。
第I章と第III章では視力を理解するための視覚生理学について、第II章では光学専門家によってレンズの知識について詳細に記述されています。第IV章は自覚的屈折検査において理論と実際を並行して記述し、ひとつひとつの手技がすべて理論に基づいて行われるよう説明されています。また不正乱視を取り上げ、眼の高次収差について知っておくべき知識も記載されています。理論や検査方法を理解し、臨床の症例に応じて信頼性の高い検査結果を得られるように組み立てられています。第V章では、小児の視力屈折検査の進め方における注意点や、弱視、心因性視力障害について、第IV章では光学系に影響する眼疾患、角膜、水晶体、屈折矯正手術における症例の応用的な視力検査、屈折検査について、専門の眼科医と視能訓練士が執筆しています。第VII章と第VIII章では、光学系の専門用語や専門機器に関して最新の情報がわかりやすく解説されています。
眼科診療において視力・屈折・光学の知識は必要不可欠なもので、今後、QOV重視の面から益々この傾向は加速するものと思われます。理論に基づいた質の高い検査を行うことができるよう、この本をご使用いただければと願っております。
(「はじめに」より)