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日本の英語学習者に共通の弱点である「冠詞」、日本語にない「隠れた主語」、「単数か複数か」といったベーシックな課題から、「数学表現」や「科学論文を書くときの注意点」など技術系ならではのテーマにまで及ぶ。たとえば、「隠れた主語を探せ」で取り上げられるのは、「この理論では、物質の挙動を説明することができない」という例題。これを英訳する場合、大半の人は“One cannot explain…”と始めてしまうだろう。しかし、これでは英語らしい文とはいえない。発想を切り替えて「この理論」を主語とし、“This theory cannot explain the behavior of matter.”とすれば、ネイティブにも読みやすい英文になるとアドバイスする。
ほかにもこんな例がある。「専用の電話回線は、データを56kbpsで送ることができる」。「専用の」に当たる形容詞を辞書で探すと、exclusive、private、personalなどが候補としてあがってくるが、この場合にはどれもしっくりこない。ここは“dedicated telephone lines”と表現すべきなのだが、dedicatedをこのように使う例がどういうわけかほとんどの辞書に載っていないという。
本書は全編にわたって、「日本語の例題」、「誤訳の提示と解説」、「正しい英訳」という演習形式のスタイルで構成されている。通読するだけでも得るところは多いだろうが、できるなら例題を自分で英訳して、解説を読みながら自己添削してみたい。英語のライティングを実体験することで、さらに大きな効果が期待できるはずだ。(成重 寿)
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同じような発想で書かれた本としては,名著の誉れが高い「日本人の英語」と「続日本人の英語」(共に岩波新書,マーク・ピーターセン著)があり,どうしてもこれらと比較して読んでしまいました.その感想ですが,やっぱり,日本語を大変良く知っているネイティブスピーカー(ピーターセン)よりも,英語を大変良く知っている日本人(この本の著者)が書いた方が,日本人の「わからなさ」の感覚にはぴったり来ますね.また,おかしやすい間違いについてたくさんの問題でトレーニングしてしてくれる点も,大変優れていると思います.ただ,日本人が間違いをおかした英文が,「英語としてどういうふうにおかしく感じるのか」,についていきいきと教えてくれる点についてはピーターセンの勝ちだと思いますが.
いずれにしても,自分で英語論文を書く必要に迫られている理系の大学院生から,どうにか論文らしきものは書けるようになったがまだまだ迷うことが多い若手の研究員や大学教員まで,必携の書だと思います.自分の学生や元学生たちにもこの本を薦めています.私が人に勧めるとすれば,これまでマーク・ピーターセン著の2冊と「理科系の作文技術」(中公新書,木下是雄著)の3冊だったのですが,これで4冊になりました.
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