簡潔で要を得た、良いコンセプトの独習書だと思います。
巷にあふれる教科書は、得てして重箱の隅をつつく(定義を厳密に示す)ことに重点が
置かれ、かえって本質の理解を拒みます。さらに大抵は硬い悪文で書かれており、速やか
な理解を妨げます。しかしながら本書は、定義や数式をいじる事ではなく「本質的な理解
を優先」しており、なおかつ文体も平易です。
構成は・・・第1章 クーロンの法則/第2章 ガウスの法則とコンデンサー/第3章
導体と絶縁体/第4章 電流と磁界/第5章 電磁誘導/第6章 マクスウェルの方程式
/補章 具体的な回路・・・となっています。200ページに満たないながらも、押さえ
るべき点は押さえ、マクスウェルの方程式まで到達。文句のない構成です。
最近の『あくまで分かりやすい入門書』ムーブメントが生み出した、珍しい成功例の1
つでしょう。とは言っても、会話調で書かれていたり漫画調の挿絵があったりという事は
無い硬派な本なので万人におすすめ出来ます。(宣伝文句にもあるように)先に進んでみ
たい高校生、基礎を固め直したい大学生には特に推奨します。
蛇足ながらカバーイラストについて。これを描いているのは、何と、(西尾維新〈戯言シ
リーズ〉のイラストで有名な)あの竹氏です。おそらく、対象とするマーケットが西尾維新
の読者と重なっていると考えての採用なのでしょうが・・・物理の本としては実にユニーク
な試みです。