本書を一言でレビューすれば「理系女性のすすめ」である。それも進学をひかえた女子中高生や進路に悩む理系女子大生を対象にしているように見える。一見軽いタッチのピンクっぽい装丁がそれを如実に物語っている(と思う)。しかし、レビュアーは一応理系の素養があるとはいえ、まぎれもない男性であり、人生も半分終えてしまっているので、レビュアーとしてあまりふさわしくないかもしれない。ただ、著者(内田麻理香さん)的にいえば「理系女性」萌えのようなところがあるので、とてもおもしろく読んだ。とはいえ、女子中高生や女子大生、「理系女性」萌え男性だけが読むのではもったいないのではないかと思う。
本書に登場する理系女性10人+1人(著者自身)の「人生カタログ」を読んでみると、その多様さに驚かされる。現在就いている仕事もさることながら、そこに至るまでの人生の軌跡もさまざまである。人生は皆そんなものだといってしまえば、まったくそのとおりなのだが、その軌跡に自分の人生を自分で創っていく気構えのようなものを感じてしまう。気構えと書けば固くなるが、むしろしなやかに(≠楽々と)人生を渡っている感じがする。
失礼ながら、登場する女性たちはいわゆる偉人ではない。いま現在を生きている若い女性たちだ。今後「教科書にのる」人になるかもしれないが。それでも人生の選びとり方が見事だなと感心してしまう。それはもう理系文系は関係ないし、老若男女の別なく感じ取れることだと思う。そう思いながら読んでいたら、最後に人生の半分を過ぎてしまった人にもお届けしたい、と書いてあった。本書の#09(「目次を見る」参照)を読んで、いま色彩検定を受けてみようかと考えている。どうやら自分の残り少ない人生航路を決めるのにも効いたらしい。
「理系」のロゴやピンクっぽい装丁に惑わされず、「理系女性」萌え以外の男性や、人生の半分を終えてしまった人たち(もちろん女子中高生や女子大生の親御さんを含めて)がこの本を手に取ってくれれば、ふさわしくないレビュアーとして成功したことになる(のかな?)。