「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
名将野村克也楽天終身名誉監督が、
2000年代後半の日本シリーズから、
2011年のペナントレース・日本シリーズまでを、
一試合ごとに解説や分析をし、それをまとめた書である。
ボールカウントごとに変化していく打者心理と投手心理、
それによって組み立てられる配球、
それを「読んで」対応しなければならない、打者。
一球一球に根拠を持って投げなければいけないと
実感させられる文章でした。
「日本シリーズとは捕手の戦い」であると野村さんは語る。
一球の怖さを知り、その裏をかくリードが必要であると。
前々からその言葉を知っていたのですが、あらためて分析を
見ると、なるほどその通りだな、そういう考えを持って
配球をすればよいのかと、目からウロコでした。
タイトルには、『理想の野球』と書いてありますが、
決して、野村さんが、自身の采配を押し付けている訳ではなく、
「現代の野球」に照らし合わせて、
データや打者心理を巧みに利用しながら、
確率の高い方策を選ぶ方法を提示したり、
試合結果から分析したりしているのである。
昔の精神論の野球ではなく、
今の、データや心理分析を重点に置いた合理的な野球を
『理想の野球』と呼んでいるのだろう。
また、合間に落合野球や、巨人野球を
賞賛・批判・苦言を呈していたり、
かつて指揮を執っていた楽天へのメッセージや
田中将大投手への叱咤激励などがあって、興味をそそる。
勝つための野球とは何か、
短期決戦での野球とは何か。
それを知り尽くした名将から学べるものは計り知れない。