書店の本棚で齋籐孝の名前を見つけ手に取り、さらに「理想の国語教科書」というタイトルに惹かれて入手した。そもそも私は小学生以来、国語が大嫌いだった。小学1年の初めてのテストだったろうか、他の科目に対して国語の点が圧倒的に低かった。それからは、国語の時間が苦痛でたまらなかった。国語の時間は本読みをあてられたら読むだけ。あとは上の空、テスト前はでるところだけを暗記してなんとか乗り切った。それゆえに、当時は国語の教科書を端緒に、好きな作家を見つけ本の大海へ飛び込む勇気はなかった。国語コンプレックスがその後十数年も続くことはつゆ知らずに。
親や先生は、よく本を読めと言う。だが、何を読んでいいのか分からない。たとえ本を手に取ってみたところで国語の教科書のように退屈なものだったら時間の無駄なだけだと誰もが思うものである。
少年少女にこのような苦手意識や諦めに似た感覚を持たせてしまうのは、なんともかわいそうだ。子どものうちに本を読むことを放棄してしまうのは、人生に何倍も潤いを持たせる機会を奪ってしまうように思えてならない。読書をする人は同感だろう。
本書は、古今東西の名作、古典から今まで聞いたことのないようなものまで収録されている。当然ページの都合上、各々の作品に割かれるのはわずかだ。しかし、作者の生い立ちやあり、あらすじあり、そして作品の背景の懇切丁寧な解説あり、とあくまでも国語の教科書の特徴は失っていない。
さらに、学校の国語教科書との大きな違いは、巻末の作品のタイトル、出版社を表記した引用リストだ。これならば、自分の肌に合った作品を実際購入して続きを読むことができる。本書の中で、数ページの作品を読み、あらすじをおさえているのだから、購入して幻滅することはまずないだろう。私も続きが読みたくなり、手に入れた本が何冊もある。できるならば、すべて原作にあたってみたい気持ちでやまない。