理性のゆらぎ (幻冬舎文庫)青山 圭秀氏の「理性のゆらぎ」を十数年ぶりに再読した。
この本は日本に「サイババ」を紹介するきっかけになった最初の本だと思われる。
青山氏はこの本の後にも続けざまに「アガスティアの葉」「真実のサイババ」「サンカルパ」といった、サイババ、インドの伝承医学アーユルヴェーダ、占い(アガスティアの葉を占いと言って良いものかと言う問題はあるが)と言った事についての本を発表し、かなりの部数が売れたと聞く。
またこの本をきっかけとしてこの、南インドの聖者と呼ばれる人物について日本においても知られるようになり、一時テレビや週刊誌などでも取り上げられていた。
この本に書かれている事は、十数年前のことであるが、サイババと言う人物を知る為には良書だろう。
主人公である作者は科学の先端で研究をする傍ら、瞑想を欠かさないという日本の一般的概念からは、少し変わった人物だ。
しかし科学者の客観的であろうとするその眼から見た聖者の印象は、読者にとって自分の事の様に感じられる。
出来るだけ主観を廃して客観的に見ようとする主人公の姿勢、現代社会において奇跡と呼ばれる現象をも目の当りにし、物質世界と精神世界の狭間で揺れ動いている作者の心の動きが良く判る。
青山氏はその後ある事件に巻き込まれ、インドで刑務所に収監されるという不幸にも見舞われるが、この本を書いた時点ではその様なことを知る由も無い。
この事件については「愛と復讐の大地」で書かれているが、青山氏の著作を読むのであれば、上梓した順を追って読むことをお勧めする。
それによって青山氏の初めてのインド訪問から精神世界についての理解を深めていく過程を、自らも追体験できるだろう。