この映画はキューブリックの作品の中でもビデオ化されておらず 長い間幻の作品であった。1986年に一度新宿のシアターアプルのナイトショーで短期間上映されたことがあったが 小生は見損ねていた。DVD化されて初めて見る機会を得たわけである。
一見して唸った。B級犯罪映画の大傑作である。
競馬場の強盗という話自体は めずらしい話ではないかもしれないが そこにいたるまでの「映画の文法」が自由自在である。同じ場面を繰り返し いくども時間を前後させる筋立ては 観ている我々の緊張感を高めていく。高まった末に行われる強盗の場面も実にシャープで テンポのよさも申し分ない。
そしてなにより飛行場のラストシーンは 抜群。見ていない人のために ここで書けないのが残念であるが 書けと言われても書きようもないことも確かである。
これを観ると キューブリックは若くして 将来の天才が保証されていたことがはっきりと分かる。カークダグラスはキューブリックのことを「才能のあるクソッタレ」と言っていたという。カークダグラスも大したものである。その後のキューブリックを知っている我々としては それは 逆にカークダグラスの「慧眼」を証明した 心温まるエピソードでしかない。