現在再公開を禁じられている「恐怖と欲望」を含めて数えると、長編映画としてはキューブリック監督の第3作にあたります。フランク・シナトラも、同じ時期に同様の企画を考えていたそうですが、キューブリックに先を越されてしまいました。完成した作品を観る限り、ここには後期の作品に見られるような、特殊技術を用いた映像スペクタクルや過剰な暴力表現が見当たりません。ただし、登場人物に対する冷めた視線が感じられるという点で、これはいかにもキューブリックらしい作品なのではないかと思われました。
競馬場のあがりを強奪しようとするギャングの計略の一部始終が、白と黒のコントラストがはっきりとした鋭い映像で語られる作品です。全編が90分に満たないという、贅肉が一切削ぎ落とされた作品ですが、特にクライマックスの銃撃戦を一瞬で決着させてしまう演出には緊張感があり、たいそう驚かされました。あえて最後まで見せてしまわぬ幕切れにも、センスの良さが光ります。詳細はネタばれになるので書けませんが、ぜひ、皆さんの目でお確かめください。
ジャケットデザインは、以前に発売された同監督の「非情の罠」「突撃」と統一性がもたされました。画質も充分に満足できるレベルなので、ストレス無く鑑賞できます。