家庭内で虐待を受けた子供たちが収容される児童養護施設内部で繰り広げられている凄まじい施設内暴力。それは単に生育暦上のトラウマの結果ではなく、まさに施設内で進行している、安全欲求が満たされない環境それ自体によって悪循環的に生じている。
そこには狭い意味での心理療法アプローチを超え、施設や公的機関と連携しつつももそれらから独立したリーダーを中心とした「安全委員会」方式と呼ばれるネットワーク形成型アプローチが必要ではないか。そのことを提唱し、実践してきた、日本有数の「現場で行動する臨床心理士」田嶌誠一先生の新著。
冒頭の「総論に代えて」の持つ、凄まじいまでのインパクトと、そこに示された先生の決然たる問題提起だけは、是非、多くのカウンセラーの皆様に、実際に目を通していただきたい。
この「施設内暴力」の問題を冒頭で取り上げる形で、この10年ほどの、不登校・引きこもり・大学学生相談・スクールカウンセリング・強迫症など、様々な領域での具体的な実践の軌跡をまとめた著作である。「安全弁」「節度ある押し付けがましさ」をはじめとする、田嶌先生自身が案出したさまざまな名言も散りばめられている。
・・・・ここまで自分の頭で考え、自分の言葉で語れ、自分なりの実践が出来るカウンセラーが、この世にいるのである。