世界最大の自動車部品メーカー・デンソー工場長時代、
通常80~85%という工場の稼働率を、93%にまであげた実績
(90%というのは、製造業の常識ではどう頑張っても越えられない
と思われていた)をもつ著者の30年にわたる改善ノウハウを、
54の図表&実践シートを使ってあますとろろなく初公開した
ものである。
通常はトヨタ式として公開されているのは、生産方式。
その他の独自のノウハウは、トヨタ精神としてその哲学は紹介
されているが、具体的ノウハウはマル秘・非公開である。
しかし、本書は、トヨタ精神の神髄、それをブレイクダウンして
どう日々の仕事に適用し実践するか。具体的に教えてくれるのであ
る。その点、評論家でなく、徹底的に現場を知り尽くした人の「凄
み」が本書にはある。
成果(工場の生産性向上)と成長(従業員の創造性の向上)の両
輪を回すことが、発展の永続性に繋がる。この二つのベクトルを融
合する方法が、抽象論でなく図表等使って徹頭徹尾具体論で語られ
ている。これには全ての仕事の発展に通ずる普遍性がある。
そして本書を貫くもうひとつのテーマがチーム力最大化の技術で
ある。組織人を嫌い、個人の才覚で成功しようとする現在の風潮で
はあるが、仲間と共に、智慧を出し汗を流し、仲間と共に成果と喜
びを分かちあってきた著者の心は、めっぽうあったかいのだ。
なぜか、本書は全編を通じて、さわやかな風が吹き抜けていた。
不思議な感覚である。あるトヨタマンの言葉にその答えを見た。
「あえて上り坂を選び、仲間と共に汗と土にまみれて登り続け、
時が来たら後を託して去る、、これがトヨタ的な考え方です。」
いろんな刺激、情報の洪水の中で、仕事論を見失いがちな私達。
本書は、全ての人に仕事へのゆるぎない確信を提供してくれる。